食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

EurekAlert(http://www.eurekalert.org)より

  • ピーナッツを食べる妊娠女性は子どものピーナッツアレルギーリスクを増やすかもしれない

Pregnant women who eat peanuts may put infants at increased risk for peanut allergy
1-Nov-2010
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-11/tmsh-pww102910.php
Journal of Allergy and Clinical Immunologyの11月号に発表された論文。米国5か所で3-15ヶ月齢の卵またはミルクアレルギーがあるまたは重い湿疹があり卵やミルクのアレルギー検査陽性の乳児503人を評価した。対象の乳児には先にピーナッツアレルギーと診断された例はない。140人の乳児が血液検査でピーナッツへの強い反応を示したが、この反応は妊娠中のピーナッツ摂取が有意な予測因子であった。
ピーナッツアレルギーと妊娠中のピーナッツ摂取については不明なことが多い。2000年に米国小児科学会はアレルギーリスクの高い女性には妊娠中と授乳中にピーナッツの摂取を避けることを検討することを助言していたが2008年には科学的根拠が限られるため取り下げられた。そこで食物アレルギー研究コンソーシアム(CoFAR)で新たなリスク要因研究を行っている。
今回の報告については妊娠中にピーナッツを食べたかどうかが自己申告によるものであることや単にアレルギー検査の結果だけについてのものであることなどの限界がある。この知見の確認には介入試験が必要である。
(小さい子どもの卵やミルクへのアレルギーは成長するとなくなることが結構あるのに対してピーナッツアレルギーは反応が重症で永続的なことが多いので重要視されている。妊婦に卵やミルクの制限を薦めることはしていない。
消費者庁の 「アレルギー患者が食べられる」と称する卵の販売サイトに関する注意喚起について に関連して。
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin430.pdf

Lead poisoning maps in R.I. reveal huge disparities, guide cleanup
1-Nov-2010
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-11/bu-lpm110110.php
1993年から2005年までのロードアイランドの鉛中毒に関するデータを地理的にまとめたところ、6才以下の子どもの鉛中毒事例がゼロの地区から48.6%の地区まで大きな格差があることがわかった。Maternal and Child Health Journalに10月23日オンライン発表された。高いのは貧しい地域と1950年以前の建物が残っている地域。

  • 食品の減塩義務化は任意の削減より20倍効果がある

Mandatory curbs on food salt content 20 times more effective than voluntary curbs
1-Nov-2010
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-11/bmj-mco102910.php
Heartにオンライン発表された論文によれば、加工食品の塩含量に上限規制を設定することの方が企業による自主的減塩より20倍有効である。オーストラリアでの試算。1日の最大摂取量6gが達成できれば61万健康生命年の利益がある。個人向けの減塩助言は費用対効果は悪く削減できる心疾患は0.5%以下であろう。企業による自主的取り組みは費用対効果は良好であるが削減率は約1%であまり大きくない。義務化すれば心血管系疾患を18%削減できる。

  • もしGMOの遺伝子が拡散したら、ハイブリッドはどうなる?

If GMO genes escape, how will the hybrids do?
1-Nov-2010
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-11/ajob-igg110110.php
ネブラスカにおけるソルガム、シャッターケーン、およびその野生作物ハイブリッドの適応と生育
GMOの遺伝子が作物から拡散して自然界や野生種に未知の影響を及ぼすという懸念がある。しかしGMOに関連する特徴が実際に野生の近縁種に移行して永続するリスクはあるのか?そこでJohn Lindquistらは栽培品種から野生近縁種への遺伝子のフローとハイブリッドの生態影響を調べた。その知見はAmerican Journal of Botanyの10月号に発表された。遺伝子組換えではなく伝統的な交配で除草剤耐性を獲得したソルガムから近縁野生種への遺伝子フローを調べた。
http://www.amjbot.org/cgi/reprint/97/10/1610
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