食品安全情報blog過去記事

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食品添加物としてのグリーンS (E 142)の再評価

Scientific Opinion on the re-evaluation of Green S (E 142) as a food additive
22 November 2010
http://www.efsa.europa.eu/en/scdocs/scdoc/1851.htm
グリーンSはトリアリールメタン色素でこれまでJECFAでは1964年と1969年はウールグリーンBSの名前で、1975年はグリーンSとして評価された。JECFAは1969年に25 mg/kg体重/日の暫定ADIを設定したが1975年には取り下げた。SCFは1984年にNOAEL 500 mg/kg体重/日を根拠に5 mg/kg体重/日のADIを設定した。
ADMEデータからはグリーンSはあまり吸収されず主にそのままの形で糞便中に排泄されることが示されている。適切な遺伝毒性データはなく評価できない。
ラットの亜慢性試験で弱い一時的貧血と尿タンパクの増加などが1500 mg/kgの用量で観察され、NOAELが500 mg/kgとなった。マウスの長期試験では一貫した用量反応がみられずがん原性はなくNOAELはオスで530 mg/kg、メスで660 mg/kgである。ラットの多世代試験では長期高用量で羊膜の緑着色が観察されたが胎児への有害影響は見られなかった。胎児の発育についてのNOAELは1000 mg/kgである。
グリーンSアレルギーや不耐は報告されていない。現在のデータからは先に設定した5 mg/kg体重/日のADIを改訂する理由はない。
食事からの暴露量推定は最大許容量での使用による高摂取群の子どもでADIを超過するが詳細推定では超えない。規格については更新が必要である。