食品安全情報blog過去記事

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葉物野菜に硝酸が含まれることによる乳幼児への健康リスクの可能性についての声明

Statement on possible public health risks for infants and young children from the presence of nitrates in leafy vegetables
9 December 2010
http://www.efsa.europa.eu/en/scdocs/scdoc/1935.htm
硝酸は天然に野菜に含まれ食事からの硝酸摂取量の多くは野菜由来である。レタスやホウレンソウなどの葉物野菜には比較的多く、温室や弱い光条件では増える。欧州委員会は食事からの硝酸リスクを管理するための長期戦略の選択肢を得るためにEFSAに意見を求め、CONTAMパネルが2008年に意見を発表している。このときに乳幼児の硝酸暴露についてさらなる情報を求められた。
CONTAMパネルは野菜の硝酸濃度データとEU 13か国の子どもの食品摂取量データを検討した。野菜摂取量の中央値は1日61g、95パーセンタイルは207gだった。年齢により摂取量は変化し小さい子どもはホウレンソウ、大きい子どもはレタスが相対的に多かった。レタスは野菜摂取量の3.7%、ホウレンソウは2.6%を占める。硝酸濃度が最も高かったのはレタスだった。野菜以外の硝酸濃度は文献から推定した。
1-18才の硝酸慢性暴露量は2008年の意見で発表した硝酸のADI 2.7 mg/kg体重より少ないか同程度だった。一部の推定で時々急性暴露がADIを超過するが、時々超過することそのものが健康リスクがあることを示すわけではない。硝酸は亜硝酸に還元されてメトヘモグロビン血症を誘発する可能性があるので急性暴露の安全性評価のためにはARfDを設定するのが適切であろう。現状入手できるデータはARfD設定に十分ではないが3ヶ月以上の年齢の子どもでは15 mg/kg体重/日以下の硝酸暴露ではメトヘモグロビン濃度は増加しないことが示されている。現在の及び提案されている最大硝酸量では、最大15 mg/kg体重/日の暴露となるだろう。そのような暴露量で健康上の懸念とはなりそうにない。しかしながら1日に何回もホウレンソウを食べる一部の乳児ではリスクがある可能性はある。モデルを使った計算によれば8.3%の乳児が15 mg/kg体重/日を超える可能性があり、ホウレンソウの基準値3000mg/kgが履行されれば5.6%に、3500mg/kgなら6.4%に減るであろう。
(中略)
全体として、ホウレンソウの硝酸濃度は健康上の懸念が排除できないレベルまで食事からの硝酸摂取量を増加させる可能性がある。ホウレンソウやレタスの規制を現在より500 mg/kg上げることは、超過率がレタスで1%ホウレンソウで5%しかないため、地方による例外より小さな影響しかないだろう。
不適切な保管や調理は硝酸の亜硝酸への変換をもたらしメトヘモグロビン血症誘発の可能性を増やす。消化管に細菌感染のある乳幼児は硝酸感受性が高いためそのような場合はホウレンソウを与えないことを薦める。