食品安全情報blog過去記事

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その他

BMJ
Integrative medicine and the point of credulity
John C McLachlan
BMJ 2010; 341:c6979
いわゆる「統合医療」は、クリティカルシンキングの水準を下げることで合理的医療に代替療法を忍び込ませるための方法として使われてはならない。明確なインチキを検出できないということは喜ばしい兆候ではない。
ホメオパシーのようなCAMを「統合医療」と名前を変えて変装させようという動きが国内でも国際的にもある。
McLachlanはソーカルの精神に倣って、「統合医療エルサレム会議」なるものに論文を提出するよう要請する大量に出回っているメールに「リフレクソロジーに使える、臀部のホムンクルスを発見した」という返事を書いてみた。返事は是非発表して下さいというものだったので、陰謀論権威主義と詐欺に満ちたアブストラクトを送った。結果は是非レクチャーして欲しいというものだった。さすがに実際に現場でこのジョークを演じるつもりはない。
(クリスマス特集号のお笑い記事と読むか、もっと深刻に受け止めるべきか?)

  • 新しい肥満薬:新しい希望、古い恐れ

エディトリアル
New obesity pill: new hopes, old fears
The Lancet, Volume 376, Issue 9758, Page 2042, 18 December 2010
FDAが10年ぶりになる抗肥満薬、Contraveを認可しそうだ。
肥満のような複雑な問題に対して、このような薬物を使うことは、メリットが小さい(体重の5%減少)こととリスクの可能性(成分の1つである抗うつ剤ブプロピオンによる自殺企図や痙攣、心血管系への影響)を考えると、懸念がある。FDAは製薬会社の肥満研究意欲を高めることを望んでContraveを認可するのだろうが、この薬物はライフスタイルの変更を伴わなければ効果はなく、魔法の治療薬と見なすべきではない。政府は肥満対策には包括的アプローチで臨むべきで、ライフスタイル変更で治療すべき疾患に投薬を薦めるべきではない。