食品安全情報blog過去記事

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ビスフェノールAの毒性学的および健康上の特徴をレビューする専門家会合 要約報告書

Joint FAO/WHO Expert Meeting to Review Toxicological and Health Aspects of Bisphenol A
http://www.who.int/foodsafety/chem/chemicals/bisphenol_release/en/index.html
Summary report
http://www.who.int/foodsafety/chem/chemicals/BPA_Summary2010.pdf
2010年11月1-5日、カナダで開催された会合の報告書
一部抜粋
まとめると、専門家会合は以下のように結論した:
・多くのエンドポイントにおいて、POD(外挿の出発点)はヒト暴露量よりずっと高い。従ってコレラのエンドポイントについては健康上の懸念はない。
・通常用いられるエンドポイントを評価した発達と生殖毒性試験においては、なんらかの影響があるとしても高用量でのみ影響が見られる。
・しかしながら一部の新たに使われるようになったエンドポイント(性特異的神経発達や不安、ラットの乳腺や前立腺の前がん病変、精子のパラメーター不全など)では、ごく僅かの研究でより低い濃度との関連が示されている。
これらの低用量影響のPODは推定されるヒト暴露量と近いため、それらの毒性学的意味が確認されれば懸念となる可能性はある。しかしながら、全ての入手可能な速度論データや現行の古典的エストロゲン様作用についての理解を考慮すると、これらの知見を解釈するのは困難である。これらの知見の妥当性や正当性に関しては相当な不確実性がある。不確実性を考慮するとこれらの評価が現実的ヒト健康リスク推定を提供すると結論するのは時期尚早であるが、これらの知見は不確実性を削減するための将来の研究方向を示すものとなるであろう。
代用品
PCボトルや容器、缶の内張用BPA代用品がいくつか市販されている。BPAの広い使用範囲から、全ての使用に、特に缶のコーティングについては、単一の代用品を同定するのは不可能だろう。どのような代替材料であってもその機能性と安全性は注意深く評価される必要がある。
助言
専門家会合はたくさんの不明点を同定し、一連の、BPAによるヒト健康リスクをより良く理解するために必要な情報や新しい研究デザインを提供した。
(メンバーにvon Saalが入っていてもこの程度)
11月1日の関係者会合の報告書にはメディアは事実に基づいて報道する必要がある、といった記述有り