食品安全情報blog過去記事

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肉の「ガス処理」−事実は何か?

SMC
Meat ‘gassing’ – what are the facts?
February 7th, 2011.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2011/02/07/meat-gassing-what-are-the-facts/
ここ一両日のニュースで、ニュージーランドの一部の肉に、肉を長持ちさせるために包装内へ二酸化炭素と酸素を封入する「ガス封入」が行われているということが報道された。
この工程はMAP(ガス置換)包装ともよばれ、現在そのことについての表示はされておらず、ニュージーランドの一部の小売店でしか使われていない。SMCはこの方法と、その安全性や質や栄養への影響について地元専門家の意見を求めた。
Lincoln大学農業園芸科学研究所長Jonathan Hickford准教授
これは「生鮮肉」の「価値」を正確に定義できるかどうかという問題である。
スーパーで販売されている肉が安全であることは誰もが望むことで、その点についてはNZFSAによる企業の監視を信頼している。ガス封入した肉の安全性については全く問題がない。肉の安全性については微生物学的問題が最も重要で、ガス封入技術は細菌による損傷を少なくして肉の品質を向上させるためにデザインされている。
肉の保存技術は数千年も前からいろいろな方法が使われてきてガス処理そのものが独特というわけではない。何かが古いからといって望ましくないまたは価値がないということを意味しない。例えばPermaハムは塩漬けされてから18ヶ月以上乾燥されるが高価なものである。肉市場においてはどれだけ古いかと品質はあまり関係ない。
メリットとしては、ガス封入による肉の長期保存は肉を軟らかくするのに役立つかもしれない。デメリットとしては、他の肉同様、肉には飽和脂肪が多く含まれる。
消費者は知る権利があるし食品供給者は説明できなければならない。これは肉だけに限ったことではない。これが表示されるべきかどうかはまた別の問題である。
Lincoln大学食品生化学教授Roy Bickerstaffe博士
MAPは保存期間を長くするために食品産業で広く使われている。効果としては見た目の保持と保存期間の延長の二つがある。製品をダメにする酸素の代わりに不活性ガスを封入する方法がよく使われる。この場合ガスを封入し逃さない包装を選ぶ必要がある。ガス封入により製品に栄養や健康上の有害影響を及ぼすような変化はない。
報道されているのは酸素と二酸化炭素の封入事例で保存期間を伸ばすもので封入の費用はそれでカバーされている。この販売戦略が通常包装を行っている別の業者に反対されている。問題となるのは一酸化炭素を使った包装であろう。米国では極めて低濃度での使用が認められているがヨーロッパ(特にドイツ)では一部漏れ出ることがリスクとなるという理由で認められていない。
Brian Wilkinson博士
報道は正確ではない。ニュージーランドでは肉の包装は主に3つ、シュリンクラップ(ポリエチレンラップ)、真空包装、MAPが使われている。MAPには主に2つ、高濃度酸素封入と高濃度二酸化炭素封入がある。
多くのスーパーでは肉をポリスチレントレーに入れシュリンクラップして販売している。この場合最初の微生物数によるが保存期間は7-10日である。一方Countdown(店の名前)は高濃度酸素封入パックで販売している。この方法だと肉の種類により3-4週間もつ。見た目の変化のほうが商品としての期限を決める。
肉の輸出業者は高濃度二酸化炭素封入または真空パックで輸出している。この肉が販売されるときは高濃度酸素封入パックに再包装されて販売されている。
どの包装の肉も食べるときには病原性微生物を殺すために65℃以上で加熱する必要がある。
NZFSA
変質予防のため、食品包装容器内のガスの比率を変える方法は長い間国際的にも認められ使用されてきた。
MAPのファクトシートは以下
http://www.foodsmart.govt.nz/food-safety/high-risk-foods/modified-atmosphere-foods/

(引用されている「ダメな」新聞記事は
'Gassing' fakes meat freshness
「ガス処理」で肉の新鮮さが誤魔化されている
http://www.stuff.co.nz/sunday-star-times/news/latest-news/4622613/Gassing-fakes-meat-freshness
牛肉などは殺してすぐ食べるのがベストではないということすらわかっていない模様)