食品安全情報blog過去記事

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農業では抗生物質はどう使われているか?

How is the use of antibiotics controlled in farming?
21 February 2011
http://www.apvma.gov.au/news_media/community/2011-02_antibiotics_farming.php
抗生物質はヒトや動物の細菌感染治療に使われている。抗生物質は我々の多くが当然のように思っている強力な近代医学の道具である。しかしその使用方法には注意が必要である。まず、抗生物質の数は限られていて新たに開発されるものは少ない。もし誤用されると細菌は耐性を獲得する。次に抗生物質耐性細菌は動物からヒトに移行する可能性がある。動物での抗生物質の誤用はヒトにとって有用な抗生物質の価値を消失することを意味する。ヒトや動物でよくみられる感染症が治療できなくなるリスクがある。
このためオーストラリアではヒトの治療用や動物用の抗生物質使用は注意深く管理されている。APVMAは農薬と動物用医薬品の規制当局として、オーストラリアでの販売を申請された動物用抗生物質を厳密に評価しなければならない。規制上の決定をするにあたってAPVMAは国及び国際的規則に従う。ヒトにとって重要な抗生物質は動物での使用は制限されるべきである。また動物用医薬品専門助言委員会からの科学的助言も受ける。また市場レベルでの情報も要求する。オーストラリアではAPVMAが認めた抗生物質しか販売できない。例えば、ヒト治療用に重要なフルオロキノロン抗生物質は、たとえヨーロッパやアメリカで動物への使用が認められていても、オーストラリアでは食用動物には使用が登録されていない。
ではオーストラリアではどのように抗生物質が使用されているか?抗生物質は主に3つの目的で投与されている。
1.動物が感染したときの治療用。例えば牛が下痢した、イヌが足に感染した場合。
2.獣医は感染の可能性があると判断したときには健康な動物にも投与される。例えば感染していることがわかった動物と接触した場合や状態が悪いため感染リスクがあると判断された場合。
3.成長促進用に投与される。この場合は低濃度を餌や水で与える。これらは動物の腸内の細菌の組成を僅かに変えて飼料の有効利用を促進して成長を促進する。
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