日経ビジネスONLINE
闇に葬られ続ける「イタイイタイ病」
2011年2月25日(金)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110222/218546/
について
コメント欄を見ると「中国怖い」一色になっているようだけれど
http://business.nikkeibp.co.jp/fb/putfeedback.jsp?_PARTS_ID=FB01&VIEW=Y&REF=/article/world/20110222/218546/
一応フォロー情報が出ているので
カドミウム汚染米は一部の地域の話
http://www.cdeclips.com/en/nation/Cadmium-tainted_rice_only_found_in_regions/fullstory_60445.html
この記事によると潘根興(PAN Gen-xing)教授は最初の調査でカドミウムの基準値超過を見つけ、次は汚染地域に集中してサンプルを集めたので2回目の方が汚染率が高くなるのは当然。
ただしこの場合の「基準値」は0.2ppmであり日本のその当時の基準値は1ppmだったことに注意が必要。Codexは0.4ppm。日本が頑張ってこの値。つまり中国の汚染がひどいと言うのならそれはそっくりそのまま日本に跳ね返って来る。
もと論文は多分これ(若干サンプル採取年や数に違いはある)
Cd, Zn and Se content of the polished rice samples from some Chinese open markets and their relevance to food safety
PAN Gen-xing
Institute of Resources, Ecosystem and Environment of Agriculture, Nanjing Agricultural University, Nanjing 210095, China
http://en.cnki.com.cn/Article_en/CJFDTOTAL-AQHJ200801034.htm
2005年の市場の91検体(ジャポニカ47、インディカ44)を測定、約10%が0.2 mg/kgを超過。
Variation of Cd,Zn and Se Contents of Polished Rice and the Potential Health Risk for Subsistence-Diet Farmers from Typical Areas of South China
ZHANG Liang-yun,LI Lian-qing,PAN Gen-xing(Institute of Resources,Ecosystem and Environment of Agriculture,Nanjing Agricultural University,Nanjing 210095,China)
http://en.cnki.com.cn/Article_en/CJFDTOTAL-HJKZ200909052.htm
このときは中国南部の汚染地域に搾って70検体を集めたところ0.2 ppm超過が70%以上だった。重金属濃度のばらつきはCdが最も大きく、土壌の性質に依存するためと思われる。
酸性だと良く吸収するので汚染地域の酸性の田んぼの米だけを食べている農家には健康リスクがある。中性の田んぼでは安全域内。Cdの取り込みの少ない品種の開発が必要としている。
これらの論文に(PAN Gen-xingで検索すると他の論文も多数ある)その健康リスクがイタイイタイ病だという主張はない。
雑誌が大げさに怖がらせて注目させようとしているだけだろう。
同じ大学の別のヒトの論文
Spatial Variation of Heavy Metals in Rice Grains in a Typical Area of Yangtze River Delta Region
http://en.cnki.com.cn/Article_en/CJFDTOTAL-TURA200901009.htm
健康リスクはないと言っている
もちろん中国の工業地帯の環境汚染対策は必要。しかし中国が汚染対策をまじめにやれば、いずれ日本の方が圧倒的に「汚染の多い国」になる。火山の多い狭い国土では天然の重金属等を管理するにも限界がある。健康被害が出ない「基準値超過」で大騒ぎしていると自分の首を絞めることになる。
上述のカニミソの話もそうだけれど、日本人が食べているものは結構海外の安全基準に違反しているものが多い。そういうものを「日本では闇に葬られ続けている」などと言われて嬉しいですか?
参考
農林水産省 食品中のカドミウムに関する情報
http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_cd/index.html
たとえば
平成23年1月28日プレスリリース
http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_cd/pdf/h230128.pdf
現在、食品衛生法に基づく米穀のカドミウム基準は「1.0 mg/kg 未満」ですが、本年2月28 日に「0.4 mg/kg 以下」に改正されます。
http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_cd/kizyunti/country.html
食糧庁によるカドミウム濃度0.4 mg/kg以上1.0 mg/kg未満の玄米の買入れ状況
昭和45年産米 13,526t
平成21年産米 511t
頑張って減らしている。
カドミウム低減対策をするとヒ素低減と両立しなかったりで結構大変
費用も嵩むし、どこかで折り合いをつけないと。