食品安全情報blog過去記事

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空港の全身スキャン

Airport Full-Body Screening
Pratik Mehta; Rebecca Smith-Bindman, MD
Arch Intern Med. Published online March 28, 2011. doi:10.1001/archinternmed.2011.105
http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/full/archinternmed.2011.105
セキュリティ強化のために導入された全身スキャンによる放射線暴露について
米国人の平均年間放射線暴露量は6.2 mSv、約0.01 microSv/minである。後方散乱X線スキャナーによる暴露量は0.03から0.1 microSv/一回である。フライト中の暴露量は0.04 microSv/minで、後方散乱X線スキャナーはフライト時間にして1-3分に相当する。例えば6時間のフライトなら14.3 microSvの暴露量で、スキャナーは1%以下の寄与となる。
リスク計算
線形の閾値無しモデル(これ自体は正確ではないが他のモデルが存在しない)を使い、1年間に1億人が7億5000万回飛行機で旅行し、X線スキャナーによる暴露は0.1 microSv、1シーベルトあたりのがんの増加が0.08と仮定する。
すると1億人の旅行者に生涯6つの余分ながんができる。がんの総数は4000万である。
1週間に10回各6時間飛行機に乗ることを1年続けた100万人の中では、飛行機に乗ることで600のがんが加えられX線スキャナーでは4である。
(線形閾値無しモデルを使う場合にはこの論文みたいに注釈つけたほうがいいのだろう。閾値はあるがどこが閾値か決められない、というのがコンセンサスなのだが・・分野外の人にはわからないよねぇ。)