食品安全情報blog過去記事

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  • 福島の放射線は海洋生物のたくましさについてのユニークな試験になる

Science 15 April 2011: Vol. 332 no. 6027 p. 292
News & Analysis Radioecology
Fukushima Radiation Creates Unique Test of Marine Life's Hardiness
Sara Reardon
福島第一原子力発電所の水のモニターの数値が上がり初めたとき、政府機関は迅速に対応した。歴史上初めて日本はシーフードの放射能規制値を定めてモニタリングを開始した。インドと中国は日本の特定海域産の食品の輸入を禁止しFDAは輸入シーフードの放射能検査を始めた。
フロリダ州立大学の放射線地球化学者William Burnettは、食品のモニタリングには意味があるが、海洋汚染リスクについて過剰反応することはないと警告する。福島海域で報告されている数値から見て、寿司を食べるのをやめるなんてクレージーだ。放射性核種はフードチェーンに広がるだろうが、ヒトにとって意味のあるリスクにはならないだろう。海の背物への影響は別だが、それは是非調査したい。
多くの海洋生物が水中の放射性同位体を吸収するが、世界中の専門家が日本の事態が落ち着いたら真っ先にやりたい調査を考え始めている。IRSNの海洋放射線生態学者Bruno Fievetによれば、海洋生物への放射能の影響はあまり知られていない。理由の一部は極めて放射能耐性が強いからだ。甲殻類や軟体動物の放射線致死量はヒトの何桁も大きいため、影響を調べる実験は危険で効率が悪い。その用量は現在福島で観察されているレベルに比べると非常に高い。
人類がこれまで海に廃棄してきた多くの他の有害物質に比べると放射能汚染による日本の魚の危険は極めて小さい。

  • Nature Vol. 472のエディトリアル

A little knowledge p135
福島第一原発事故に関連する膨大なデータの収集、公表という点で、ここまでの当局の努力は評価できるが、データを活かすためには、その提供の仕方に改善が必要だ。
doi:10.1038/472135a
http://forcast.emailalert.jp/c/aewNadquvrxKp7au

  • 男性ホルモン濃度の高い女性はスポーツ禁止に直面

Natureニュース
Women with high male hormone levels face sport ban
Published online 14 April 2011
http://www.nature.com/news/2011/110414/full/news.2011.237.html
国際オリンピック委員会が4月5日に推奨し国際陸上競技連盟が4月12日に認めた新しい女性の高アンドロゲン血症についてのガイドラインによると、生まれつきテストステロン濃度が高い女性は、女性としては競技できなくなるかもしれない。
この問題は2009年に南アフリカのCaster Semenyaが性判別検査を受けるよう求められたことで注目された。他にも問題になる事例があり、18ヶ月の議論の末ガイドラインが今週発表された。
IOCはまだカットオフレベルを決定していないが、通常閉経前の成人女性の総テストステロン濃度は15-70 ng/dLで、男性は260-1000 ng/dLであり、血中アンドロゲン濃度が男性並みの女性は女性としては競技に参加できないだろう。ただし例外もある。高アンドロゲン血症でもテストステロン受容体が機能しないため遺伝子としては男性であっても女性となる場合がある。
この検査が実際に運用可能かどうか、何人のアスリートが排除されるのかは不明である。また遺伝子の個人差を認めているようにホルモンの個人差も許容すべきであると主張する専門家もいる。