食品安全情報blog過去記事

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心血管系疾患予防のために飽和脂肪の摂取量を減らすことの役割:2010年のエビデンスはどこに?

The role of reducing intakes of saturated fat in the prevention of cardiovascular disease: where does the evidence stand in 2010?
Arne Astrup et al.,
Am J Clin Nutr April 2011 vol. 93 no. 4 684-688
http://www.ajcn.org/content/93/4/684.full
オープンアクセス
2010年5月にデンマークで開催されたシンポジウムのコンセンサスレポート
現在の食事助言は冠動脈心疾患(CHD)リスク削減のために飽和脂肪の摂取を減らすよう助言しているが、最近の知見は飽和脂肪の役割について疑問が提示されている。
専門家委員会はエビデンスをレビューして以下のように結論した:
CHDリスクは飽和脂肪を多価不飽和脂肪で置換すると下がる。西洋風の食生活をしている集団では飽和脂肪から摂取するエネルギー1%を多価不飽和脂肪で置換するとLDLコレステロール濃度が低下しCHDの頻度を≥2-3%削減する可能性がある。飽和脂肪を炭水化物で置換しても明確な利益はない。炭水化物が未精製のグリセミック指数の高い藻のである場合には利益があるかもしれない。飽和脂肪を単価不飽和脂肪に置換することの影響を判断する根拠は十分でない。CHDリスクを判断するには単一バイオマーカーへの影響は不十分である。複数のバイオマーカーに臨床上のエンドポイントを組み合わせて使うことでCHDリスクが測定できる。さらに特定の食品のCHDリスクは、飽和脂肪含量のみでは予想できない。