食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

不確実性を提示する

Presenting uncertainty
Sue Hattersley
24 June 2011
http://blogs.food.gov.uk/science/entry/presenting_uncertainty
Andrewが不在のため私(Sue Hattersley)が皆さんにBBCのウェブサイトにあるリスクコミュニケーションについての興味深い記事を紹介する。
この記事はJohn Adams教授のリスクについての有名な描写を使っており、もしまだ見たことがなければ是非見ることを薦める。
BBCの記事
我々は携帯電話の使用による「リスク」を理解しているか?
Go Figure: Do we understand 'risk' of mobile phone use?
By Michael Blastland
http://www.bbc.co.uk/news/magazine-13886254
我々は最近の携帯電話ががんの原因になるかどうかというニュースをどう判断すべきか?それは我々が不確実性をどう判断するかによる。Michael Blastlandがコラムで述べる。

リスクを知らなかったらどのくらいリスクがある?
変な質問だ?そうかもしれない。でもこの質問は我々が何者なのかを明らかにしていくれる。あなたのリスクに対する姿勢を自己診断するちょっとしたテストをやってみよう。
携帯電話は脳腫瘍を誘発するかもしれない。ある新聞は「ショッキングな警告だ!」と先週報道した。別の新聞は「衝撃の180度転換」と報道し、他の新聞はもっと楽観的だった。
何故違うのか?なぜならば我々は皆無視されていることについて自分なりの反応をしているからだ。BBCの報道やGuardianのBen Goldacreが指摘しているように、我々は単に携帯電話がどのくらいリスクがあるのか知らないのだ。
だからBBCの見出し「がんを誘発するかもしれない」にあるように、「mayかもしれない」という単語が全てである。それは恐ろしいのか?安心なのか?ひっくり返して「がんを誘発しないかもしれない」といえばどうか?
リスクはしばしば確かな数字ではない−それは不確実性がどう提示されたかによって、我々が不確実性にどう反応するかについてである。
以下の絵はJohn Adams教授がリスクの本の表紙に使った有名なものである。
この絵が示すように我々の知っていることなど僅かに過ぎない。残りは暗闇の中だ。
彼が引用したデータは、−知られている化学物質の種類は約500万で、発がん性を調べたものは7000で、ヒトへの発がん性がわかっているものは30である−今では少し古いが、彼の主張は今でも成り立つ。スクロールしてみて欲しい。
(面積比で表現しているので「暗闇」が続く)
この「暗闇」は、あなたにとって心配の種か、あるいは安心のもとか?科学では結論が出ず、個人的バイアスと推測が働く領域である。楽観主義か悲観的か、当局を信用しているか信頼できないか、自分の力で管理したいと望むかどうかなどによる。
これらはしばしば我々の「リスクがあるかどうか」を定義する。そしてそれを明らかにすることで、我々のリスクへの態度が、我々が何者かを知る役に立つ。
携帯電話は発がん性がある「かもしれない」し「そうでないかもしれない」。最近のニュース報道にかかわらず、分類は変わっていない。我々はこれまでもわからなかったし今もわからない。
新しいことは何もないのに恐ろしげなニュースの見出しになるのは今に始まったことではない。しかし新聞だけが「知らない=恐怖の原因」という見解を持つのではない。
以下略