食品安全情報blog過去記事

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アルコールは赤ちゃんのDNAを傷つけるかもしれない

Behind the Headlines
Alcohol 'may damage a baby's DNA'
Thursday July 7 2011
http://www.nhs.uk/news/2011/07July/Pages/alcohol-dna-damage-foetal-alcohol-syndrome.aspx
Independentが「アルコールは胎児のDNAを、修復できないほど傷つける」と報道した。新聞はアルコールによるDNA傷害について「科学者が精密な分子メカニズムをみつけた」という。妊娠中の過剰飲酒は、胎児に、一生続く学習障害や行動上の問題、生理的異常などの原因となる胎児性アルコール症候群を引き起こすことが知られている。研究者らはこの症候群とDNA傷害の生物学的関連に関する研究をした。
この研究ではアルコールの代謝やDNAの修復に関わる遺伝子を欠損させたマウスにアルコールを与えて影響を調べた。欠損させたのはアルコールが代謝されてできる有害物質アセトアルデヒドの分解に関与するAldh2遺伝子、DNA修復に関わるFancd2遺伝子である。これらの遺伝子を欠くマウスは胎児の時のアルコール暴露に極めて感受性が高く、生存率が低く脳の障害が重くなった。
この結果はアセトアルデヒドによるDNA傷害が胎児性アルコール症候群の発症に関与する可能性を示唆するが、遺伝子欠損ネズミでの実験なので通常これらの遺伝子を持っているヒトの胎児性アルコール症候群発症の直接原因とは言えない。ヒトでの役割についてはさらなる研究が必要である。