食品安全情報blog過去記事

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妊娠中のニコチンパッチについての研究

Behind the Headlines
Study on nicotine patches in pregnancy
Monday July 25 2011
http://www.nhs.uk/news/2011/07July/Pages/nicotine-patches-quit-smoking-pregnancy.aspx
Daily Mailが「妊娠中に禁煙用ニコチンガムを使用している母親は胎児をリスクに曝している」と報道した。ニコチンが胎児に吸収されて「後の人生で高血圧や心臓の問題などを誘発しうる」という。このニュースはラットでの、胎仔期のニコチン暴露が大動脈にどう影響するのかを調べた研究にもとづく。しかしながらこの結果を直接ヒトに当てはめるにはいくつかの注意が必要である。1つめは、ラットとヒトは違うこと、2つめは実験に使われたニコチン濃度がニコチンガムやパッチを使っている女性と同程度かどうかわからないということである。全体として、ニコチンが胎児に悪影響を与えるかもしれないことは驚くべきことではない。しかしながらこのニュースは妊娠中に喫煙している女性も赤ちゃんをニコチンに曝していることを考慮していないように見える。喫煙は母親にも胎児にも有害影響があり、喫煙している女性は妊娠前に禁煙するのが望ましい。妊娠中に禁煙しようとしてニコチンパッチなどを使わずに済むならニコチンによる有害影響は避けられるだろう。しかしながら、ニコチンが必要であれば、禁煙のベネフィットのほうが妊娠中もその後も喫煙し続けるリスクを上回るだろう。