食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

井の中のいつもの大きな問題・・

Small pond, same big issues...
Andrew Wadge on 27 July 2011
http://blogs.food.gov.uk/science/entry/small_pond_same_big_issues
米国はいつものように同じ問題に直面しているようだ−メディアが人々を怖がらせるニュースを意図的に報道し、消費者が安心するだろう良いニュースは伝えない。Trevor Butterworthが自身のブログで書いているように、「ここ10年の最大の科学的矛盾の重大な疑問に答えるものであり、公衆衛生に本質的に重要であるにもかかわらず」、最新のBPA研究がほとんどメディアで報道されていない。
この研究は「素晴らしいデザインと実践で」、「例え毎日食事から高濃度暴露されても、成人にとっては生理活性のある形のBPA血中濃度は1日中検出限界以下で、BPA暴露された齧歯類に影響を与える濃度より何桁も低い」ことを示した。このことは、他の独立した研究とともに、BPAがヒトでは速やかに吸収され解毒され排出されること、従って健康上の懸念とはならないことを確認する。
この研究はしっかりした詳細なもので、消費者を安心させる有用な話であるが、報道されないというのは恥ずべきことだ。単に恥だというだけではなく、このような恐ろしい話への報道のバイアスが実際に有害影響を与えることを認識することが重要である。それは実際に人々を病気にするカンピロバクター大腸菌などのような問題から注意とリソースを奪う。

  • Trevor Butterworthのブログ

「荘厳に科学的」な連邦政府によるBPAの研究は素晴らしい知見を提供:なのに何故メディアは無視するのか?
“Majestically Scientific” Federal Study On BPA Has Stunning Findings: So Why Is The Media Ignoring It?
Jul. 25 2011
http://blogs.forbes.com/trevorbutterworth/2011/07/25/majestically-scientific-federal-study-on-bpa-has-stunning-findings-so-why-is-the-media-ignoring-it/
CDCとFDAの専門家の協力で行ったヒトでのBPA研究がToxicological Sciencesに6月24日電子発表された。ボランティアによる、缶詰を食べて24時間連続して血液と尿をサンプリングした研究で、ヒトでのBPA暴露についてのこれまでで最も包括的な知見になる。しかしこれまでメディアは無視している。この知見は動物で報告されたBPAの影響のほとんどがヒトには当てはまらないことを示すものであり、多くのBPA研究者のデータに微量のBPAコンタミ問題があることを指摘するものでもある。

24-Hour Human Urine and Serum Profiles of Bisphenol A During High Dietary Exposure
Justin G. Teeguarden et al.,
http://toxsci.oxfordjournals.org/content/early/2011/06/24/toxsci.kfr160.long
男女20人のボランティアに朝・昼・晩と米国人の暴露量の95パーセンタイルより21%多い量のBPAを含む食事をしてもらいつつ尿と血液を24時間サンプリングした。検体採取にはポリプロピレン以外の材質と触れることが無いよう注意し、分析は万全の品質管理のもとCDCが行った。さらにCDCの検査結果をFDAのNCTRで少し違う方法で確認した。
この実験でのボランティアの平均1日暴露量は21 microg、3.3-73microgだった。尿中に測定可能な量が検出できるのは食後1時間の検体、血液は検出不可能が多いが最大濃度になるのは食後1.63時間。

  • 感情より科学を:BPAは安全。それでも心配すべき実体があるのか?

ACSH
More science over feelings: BPA is safe. Can we now find something real to worry about?
July 27, 2011
http://www.acsh.org/factsfears/newsID.2863/news_detail.asp
上述の論文の話。EPAが出資しCDCとFDAが参加して行った実験の結果が発表された後で、EPAが「BPAのヒト健康と環境影響についてはたくさんの懸念が提示されている」としてBPAの環境暴露研究を発表したことに関する批判。
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20110727#p8の件)