食品安全情報blog過去記事

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放射線暴露後のがんリスクの新しい推定

New estimates of cancer risks after exposure to radiation
23 August 2011
http://www.hpa.org.uk/NewsCentre/NationalPressReleases/2011PressReleases/110823AGIR/
HPAのイオン化放射線助言委員会(AGIR)による、イオン化放射線暴露後のある種のがんリスクの新しい推定が発表された。
AGIRはイオン化放射線暴露後の、生涯発がん(乳がんや肺がん、大腸がんのような「固形がん」の)リスクについての最新の科学的根拠をレビューした。
Bryn Bridges AGIR委員長は「新しい推定は概ねイオン化放射線を使う各種医療診断、特により一般的になってきたCTスキャンマンモグラフィーによるがんリスクを計算するのに使われてきたこれまでの数字と一致するものだった。」と述べている。ワーキンググループの座長のSir Nicholas Wald教授は、「手術のような医学的手法は常に利益がリスクを上回らなければならない。X線によるがんの誘発リスクでもそうである。このことは特に何の症状もない人々のがんのスクリーニングの際には考慮されなければならない。」と述べている。
この報告書の中では特に、女性の乳がんマンモグラフィースクリーニング、心疾患スクリーニングにおける冠動脈石灰化のCT検査、大腸がん及び肺がんのCTスキャンについてリスクを推定している。
特に冠動脈と大腸がんのCTスクリーニングのメリットは現時点では確立されていない。リスクがどんなに小さくても利益より大きくならないことを確保することが重要である。
報告書本文
http://www.hpa.org.uk/web/HPAwebFile/HPAweb_C/1313155169469
医療被曝のリスクベネフィットを解析している
UNSCEAR(2008)で用いられたリスクモデルをベースにしているが、Life Span Studyのフォローアップ期間が長くなった結果これまで予想されていたリスクより低くなった。全体として放射線量1ユニットあたりの総固形がんリスクが8%低下している。