食品安全情報blog過去記事

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妊娠と食物アレルギーの根拠のない主張

Behind the Headlines
Pregnancy food allergy claims unfounded
Friday September 9 2011
http://www.nhs.uk/news/2011/09September/Pages/pregnancy-diet-child-allergies.aspx
Daily Telegraphが「出産予定の人は魚油やナッツの多い食事をすることで赤ちゃんの食物アレルギーリスクを下げられる」と主張した。新聞は妊娠中の女性が特定の多価不飽和脂肪酸の多い食事をすると「消化された食物や細菌が血流に入りやすくなって」赤ちゃんが抗体を作るのを刺激するという。しかしながらこの報告は実際にはオメガ3脂肪酸の多い餌を食べさせたブタでの動物実験で、オメガ3脂肪酸の多い餌を食べていたブタから生まれた子どもは生後28日での腸管の「透過性が高」く、血流に物質が入りやすかった。しかし科学者はこのことがブタのアレルギーや健康にどう影響するかは調べていない。論文の中で著者自身がこれが良い影響なのか悪い影響なのかわからないと述べている。
全体としてこの知見はヒトで起こるかどうかも不明で、妊娠女性にオメガ3脂肪酸についての食事助言をする十分な根拠とはならない。油分の多い魚はオメガ3脂肪酸の摂取源の1つではあるが、妊娠女性は比較的高濃度の水銀が含まれる可能性があるため週に2回以上食べないように助言されていることも忘れないように。