食品安全情報blog過去記事

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論文等

  • 松の実の悪い後味

[Bad aftertaste caused by pine nuts].
van Dijkhuizen EH, Carpay JA.
Ned Tijdschr Geneeskd. 2011;155:A2844.
本文オランダ語
松の実を約70g食べて2日後から金属様の苦い味覚障害を経験した46才の男性の症例。

  • 100℃以下でのアクリルアミドの生成:プルーンとモデル研究

Formation of acrylamide at temperatures lower than 100°C: the case of prunes and a model study.
Food Addit Contam Part A Chem Anal Control Expo Risk Assess. 2011 Jun;28(6):726-30.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21623495
カナダ市場で販売されているプルーン製品からアクリルアミドが検出された。赤ちゃん用濾したプルーン75-265 microg/kg、ベビー用リンゴ/プルーンジュース 33-61 microg/kg、プルーンジュース186-916 microg/kg、プルーン58-332 microg/kg。乾燥工程で生じることを確認した。原料に糖とアスパラギンが含まれるため。

  • 米国がん対策法40年

US National Cancer Act: 40 years on
The Lancet, Volume 378, Issue 9798, Page 1198, 1 October 2011
1971年にニクソン大統領が米国がん対策法に署名した。人類初の月面着陸からまもなくのことで、アメリカ人の技術への信頼ががんですら克服可能であるという感覚を抱かせていた。
2011年9月20日に、この法の40周年を記念して米国がん研究学会(AACR)が過去40年のがんの生物学や治療、予防についての進歩をまとめた報告書を発表した。がんによる死亡率は1990年から一貫して減少しており、1990年から2007年の間に男性のがん死亡率は22%、女性は14%減少し、がん生存者は米国内で1200万人以上になる。この成果は技術、研究、公衆衛生の進歩による。さらにがんの生物学の知識は大幅に増大し、腫瘍はその遺伝的背景により異なる振る舞いをすることがわかってきて個別医療の新しい時代への道のりが拓けている。
毎年160万人の米国人ががんと診断されているのでまだまだやることはあるが、必要な資金が確保できれば将来は明るい。NIHとNCIの資金は2003年に2倍になったがその後停滞している。AACRの報告書では国会議員に対してNIHとNCIの予算を、生命医学産業のインフレ率に応じて最低でも毎年5%増加させるよう要請している。
しかしながら経済危機は、より費用対効果の高いがん対策、特に予防へ、重点を移す機会になるだろう。タバコは制限されなければならないし、肥満は抑制すべきである。これらの予防対策はバイオテクノロジーの進歩によるものではなく白熱している遺伝学の進歩に比べると小さな一歩に見えるかもしれない。しかしアメリカ人が40年間学んできたように、アポロの月着陸と同様、小さな一歩は大きな飛躍につながる。

  • 死亡率減少と寿命延長のための最小の運動量:前向きコホート研究

Minimum amount of physical activity for reduced mortality and extended life expectancy: a prospective cohort study
Pages 1244 - 1253, 1 October 2011
Chi Pang Wen et al.,
運動が健康によいことはよく知られているが、推奨運動量の週に150分より少ない場合のメリットは明確ではない。台湾人における運動量と健康へのメリットを評価した。
1996年から2008年に416175人の男女を平均8.05年フォローした。結果としては週に92分または1日15分の低運動量集団でも運動しない集団に比較すると全ての原因による死亡率が14%減(0.86,0.81-0.91)で3年長く生きた。毎日の運動量が15分伸びる毎に全ての原因による死亡率が4%(95%CI 2.5-7.0)、がんによる死亡率は1%(0.3-4.5)減った。このメリットは全ての年齢集団の両方の性で見られた。運動しない人は少ない運動量の人に比べると17%(HR 1.17, 95%CI 1.10-1.24)の死亡率増加だった。
コメント
Survival benefit associated with low-level physical activity
Pages 1202-1203
Anil Nigama, Martin Juneau
(ごく僅かの大気汚染物質や放射能が怖いからと閉じこもる生活のほうがリスクが高い、ということ。100 mSvで0.5%が問題なら1日15分で1%って大きいよね?)

  • 抗酸化物質とがん

コメント
Antioxidants and cancer
The Lancet Oncology, Volume 12, Issue 11, Page 996, October 2011
Justin Stebbing, Colin A Hart