食品安全情報blog過去記事

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発酵食品の生体アミン生成のリスクに基づいたコントロールに関する科学的意見

Scientific Opinion on risk based control of biogenic amine formation in fermented foods
EFSA Journal 2011;9(10):2393 [93 pp.].
11 October 2011
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/2393.htm
文献とEUの摂取量データ等を用いて発酵食品に含まれる生体アミン(BA)の定性的リスク評価を行った。安全上の観点から最も毒性が高いと考えられるのはヒスタミンとチラミンで、BAが特に問題となるのは強い微生物活性と生成可能性のある発酵食品である。発酵食品中の平均含量と摂取量データから、ヒスタミンとチラミンに関してランキングはできるが現時点で入手可能なデータは個別のBAの定量的リスク評価を行うには不足している。BAのリスク緩和対策選択肢に関しては、特に重要なのは生の材料におけるBA産生微生物の存在を最少化するための衛生対策、追加の微生物コントロール、BAを産生しないスターターの使用、である。
限られた文献情報からは、食品中のBA濃度が(一人一回あたり)以下の暴露量では有害健康影響は観察されていない:a)健康なヒトのヒスタミン50 mg、ただしヒスタミン不耐のヒトは検出限界以下、b) モノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAOI)を使用していない健康なヒトのチラミン600mg、ただし第三世代MAOIを使用しているヒトは50mgでクラシカルMAOIを使用しているヒトは6mg 、c)プトレシンとカダベリンについては情報不足。
現在モニタリングやコントロールのためのBA同時高感度測定はHPLCベースの分析法しかない。発酵食品のBAについてはさらなる研究が必要である。
(生体アミンは一般的に有害物質なのだが、ポリアミンと呼ばれると何故か健康によいことにされてサプリメントとして売られたりする)