食品安全情報blog過去記事

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その他ニュース

Natureニュース
Microbes help giant pandas overcome meat-eating heritage
Published online 17 October 2011
http://www.nature.com/news/2011/111017/full/news.2011.596.html
ジャイアントパンダは自分では竹を消化しないが、腸内微生物が肉食のほうが適しているこの動物の消化管で植物を食べるのに役立っている可能性がある。PNASに発表された。
パンダは動物界でも最も偏食で、毎日12kg以上の竹を食べる。1982年のスミソニアン動物園の2頭のパンダの研究ではパンダが食べた竹のセルロースの92%とへミセルロースの73%が消化管を通過して糞になった。ほとんどの草食動物はセルロースを糖に変えるための方法を発達させている。例えばウシなどの反芻動物は複雑な消化システムをもち、栄養分を抽出している。しかしパンダは熊の仲間で、彼らは通常肉食であるためセルロースを消化する酵素をもたず反芻動物のような微生物叢もない。腸内細菌の調査からはパンダの微生物はツキノワグマホッキョクグマやその他の肉食の熊と似ていた。
Fuwen Weiはジャイアントパンダの糞のDNAを調べ、これまで知られていなかったClostridiumの作る遺伝子を発見した。これはセルロースを単糖に変える酵素の遺伝子に似ていた。
Evidence of cellulose metabolism by the giant panda gut microbiome
http://www.pnas.org/content/early/2011/10/11/1017956108

  • 死の手触りをもつ海藻

ScienceNOW
Seaweed With a Deadly Touch
17 October 2011
http://news.sciencemag.org/sciencenow/2011/10/seaweed-with-a-deadly-touch.html?ref=hp
「キラー海藻の攻撃」は安っぽいホラー映画のように聞こえるかもしれないが、多くの珊瑚礁に棲む種にとって残忍な多細胞藻類は現実の悪役になりつつある。南太平洋地域の珊瑚礁での新しい研究によれば、一部の藻類は接触することでサンゴ毒になる。この化学兵器は世界で苦戦している珊瑚礁に圧力を高めつつある。PNASに発表された論文
緑の災厄(Green plague)
Macroalgal terpenes function as allelopathic agents against reef corals
Douglas B. Rasher et al.,
PNAS October 17, 2011
http://www.pnas.org/content/early/2011/10/11/1108628108
海藻の作るテルペン類がサンゴにとって有毒という話

  • 「ニュースの見出しの中の健康:科学を理解する?」英国図書館で

Sense about science
`Health in the Headlines: Making Sense of the Science?' at the British Library
17 October 2011
http://www.senseaboutscience.org/news.php/205/health-in-the-headlines-making-sense-of-the-science-at-the-british-library
10月18日英国図書館で行われる患者参加プロジェクトの知見発表ディベートでTracey Brownが座長をする
毎日のように健康関連研究の大発見が報道されるが、この情報を理解するのは困難な場合がある。Patients Participate!プロジェクトは患者や一般人、医学研究者などに健康研究の情報へのアクセスと理解の間にあるギャップを埋めるにはどうすればいいのかを検討する。Sense about scienceのTracey Brownは科学について話すイベントで座長を務める。彼女は科学や医学的主張に対してどうすれば我々全てが根拠を尋ねることができるようになるのか、人々に報道の見出しにある根拠やあるいは根拠がないことを確実に知らせるのは誰の責任かについて検討する。
Traceyは言う「我々は何年か、地球の年齢やがんの原因、WiFi放射線マラリア治療用のホメオパシーなどの間違った情報に挑戦してきた。時に成果をあげたが、すぐに関心は薄れ、間違った宣伝は再び現れる。永続的に効果をあげるためには、一般の人々がエビデンスハンターになる必要がある。」
(エビデンスハンターっていいかも。それは違う、って指摘するより簡単だし。かわいい系のひとは三才児を見習ってなぜ?どうして?攻撃を)

  • ハーバードのがん専門家:Steve Jobsは十中八九代替医療で自分を破滅に追い込んだ

Harvard Cancer Expert: Steve Jobs Probably Doomed Himself With Alternative Medicine
http://gawker.com/5849543/harvard-cancer-expert-steve-jobs-probably-doomed-himself-with-alternative-medicine
Steve Jobsは通常致死的ではない種類のがんになったが、代替医療を好み通常医療を受けることを遅らせることで死への扉を開いたように見える、とハーバード大学医学部の研究者は言う。
Ramzi Amriがシリコンバレーの幹部には有名なオンラインQ & AフォーラムであるQuoraに恐ろしく詳細な記事を書いている「Jobs氏は通常の医療をうける前に全ての種類の代替医療を行うことを選んだと伝えられる。その状況からは、Jobs氏の代替医療選択が最終的に早期死亡につながったと推定するのは堅実であろう」Amriは続ける「通常医療を受けることにしてからですら、Jobs氏は最も実用的な治療法を避けたようだ。
我々はAmri氏のこの記事について確認するためハーバードの電子メールアドレスに確認した。彼はハーバード大学医学部の外科の研究者でかつマサチューセッツ総合病院のリサーチフェローであるが、この記事は「個人的意見」だと強調した。Jobs氏の治療に関わったことはないし個人レベルでJobs氏の病状を知っているわけではない。がんの統計や知識から想定されることである。Jobs氏の罹ったタイプのがんについては1.5年の研究歴があって強い意見を持っている。
2008年のFortuneの記事によればJobs氏は手術を避けるために特別な食事からなる代替法を9ヶ月行った。2003年10月に診断されて2004年7月末にスタンフォード大学で手術を受けるまで、仏教の菜食主義食を行った。それまでの期間にがんは拡大しJobs氏は膵臓と十二指腸を失い肝臓に拡がった。Jobs氏の肝臓移植は肝臓の相当部分にがんが拡がったためだろう。それには相当時間がかかる、とAmri氏。膵臓がんの95%は腺がんであるが、Jobs氏の罹ったのは神経内分泌腫瘍で、Amri氏によると生存率は10年で100%近い。
Quoraの記事
Why did Steve Jobs choose not to effectively treat his cancer?
http://www.quora.com/Steve-Jobs/Why-did-Steve-Jobs-choose-not-to-effectively-treat-his-cancer
(コメント欄に代替医療にすがってひどい目にあった経験談が寄せられている。英語版Wikipediaにもずっと前からJobs氏の代替医療と奇妙な手術についての記述はある。いずれにせよ確実なことはわからない。)