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科学委員会の結果を人々のより身近に トリクロサンと抗生物質耐性についての科学的意見の要約

EU科学委員会
Bringing the results of the Scientific Committees closer to the public - Summary of the scientific opinion on triclosan and antibiotics resistance
http://ec.europa.eu/health/opinions/triclosan/en/index.htm
トリクロサンは化粧品や石けんなどの多くの消費者製品に抗菌剤として添加されている。広範囲に使用されているために抗生物質と抗菌剤の両方に耐性をもった有害細菌ができてしまうのではないかという懸念がある。SCCSの結論としては
・低濃度のトリクロサンに暴露された細菌は耐性遺伝子を活性化する可能性がありその遺伝子は他の細菌に伝達される可能性がある。
・トリクロサンは他のバイオサイドと同様、競合者の排除により耐性の高い細菌を選択することに寄与する可能性がある。
・トリクロサン耐性は他のバイオサイドや抗生物質耐性につながる可能性がある。
トリクロサンは抗菌剤耐性について、特にその細菌への作用機序や耐性メカニズムについて最もよく調べられているバイオサイドである。しかしながら実験室での条件は実際の生存環境とは異なり、環境中に存在する細菌に与えるトリクロサンの影響や量はについての情報はまだ不十分である。
SCCSは、現時点ではトリクロサンの使用が抗生物質耐性を増加させるという根拠はないと結論している。しかしながらトリクロサンの暴露が決して微生物に耐性をもたらさないとは言えない。感染症制御や衛生のためのトリクロサンの役割を保持するために、SCCSは、例えば健康上のメリットが明確である場合にのみ使うなどのように、賢く使うことを薦めることしかできない。
(例えば日常生活で手を洗うなら洗浄成分だけで十分で抗菌剤を加えても効果は変わらない、そういうものには使わないのが賢明。)