食品安全情報blog過去記事

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食品と飼料中のピロリジジンアルカロイドに関する科学的意見

Scientific Opinion on Pyrrolizidine alkaloids in food and feed
EFSA Journal 2011;9(11):2406 [134 pp.].
8 November 2011
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/2406.htm
ピロリジジンアルカロイドPA)は植物が生合成する毒素で、これまで約600の異なるPAが知られている。加盟国1か国から13280のバルクハチミツと1324の小売りハチミツ検体の結果と、別の国からの351の飼料検体の結果がEFSAに報告されている。EFSAのCONTAMパネルは3つの年齢集団でのハチミツによる急性及び慢性PA暴露推定を行った。他にもPA暴露源はあるがデータがないためハチミツ以外の食品からの食事暴露量推定はできなかった。食品や飼料中で特に重要なPAは多数同定されている。代謝、活性化、DNA付加体形成、遺伝毒性、発がん性に関する現在の知見から、1,2-不飽和PAはヒトで遺伝毒性発がん物質であろうと結論した。従ってMOEアプローチを採用すると決定した。推定食事暴露量と比較するための参照ポイントとして、雄ラットにおけるラシオカルピン誘発性肝血管肉腫の10%過剰発がんリスク(BMDL10)70 microg/kg体重/日を導出した。これはハチミツをたくさん食べる幼児や子どもにとって健康上の懸念となると考えられる(possible health concern)と結論した。
家畜やペットがPA中毒となるリスクは一般的には低く、最近報告されているPA中毒のほとんどは事故による暴露である。
小売りされているハチミツについて、成人のMOEは平均で57,000 - 3,500,000、95パーセンタイルで7400 - >7,000,000である。幼児についてはそれぞれ14,000 - 7,000,000と 1200 - >7,000,000、幼児ではない子どもについては25,000 - 1,800,000 と 3900 - >7,000,000である。地元産のブレンドされていないハチミツを定期的に食べている場合には小売りハチミツを食べているヒトよりPA摂取量が最大2倍になる可能性がある。EFSAは動物実験のBMDL10を用いた場合MOEが10000以上なら一般の人々の健康という観点からは懸念が低いと結論している。
(乳幼児にハチミツは勧めない。白い砂糖のほうが安全。)