食品安全情報blog過去記事

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その他ニュース

  • EPAは毒性データベースの外部レビューを命ぜられる

ScienceInsider
EPA Ordered to Do Outside Reviews of Toxicology Database
16 December 2011
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2011/12/epa-ordered-to-do-outside-review.html?ref=hp
NASのNRCが批判したようにEPAのIRISには問題点があるとしてレビューを行う。
まず無機ヒ素の評価案がNASにレビューされることになるだろう。
(現在IRISに採用されている無機ヒ素の発がん性の強さについての数値は1988年のEPAの評価によるものであり、1.0-2.0 (mg/kg/day)-1となっているが現在準備中の案ではそれが25.7(mg/kg/day)-1と一桁大きな数字になっている。EPAはそれをもとデータは主に台湾の皮膚がんデータを根拠にしているが新しい膀胱や肺のがんのデータをもとにしたため違ってきたとしている。これが飲料水規制強化につながるのではないかと恐れられている)

  • 注目を浴びているカイロプラクターが法的措置に直面

Casewatchから
High-profile chiropractor facing legal actions
http://www.casewatch.org/board/chiro/credeur/charges.pdf
コロラド州カイロプラクティック評議会がデンバーのBrandon Credeurを虚偽の宣伝や必要のない検査をしたことなどで告訴した。
CredeurはII型糖尿病や甲状腺機能低下症に伴うホルモンバランスを調節するなどと宣伝して食事療法やサプリメントを含む治療で数千ドルを取っていた。
彼についてDenver ABCが一連の批判報道を行っている。
たとえば
http://www.thedenverchannel.com/news/29879874/detail.html
本人の宣伝
http://www.drcredeur.com/
医者に行くとかえって悪化するとか、エネルギーレベルを上げるとか、隠されている真実とか体験談とか

  • Lancet

・リンチ症候群におけるアスピリンと大腸がん予防
Aspirin and colorectal cancer prevention in Lynch syndrome
Vol. 378 Number 9809 Dec 17, 2011Pages 2051-2052
Andrew T Chan, Scott M Lippman
アスピリンがリンチ症候群患者の大腸がんを抑制するかどうかを調べていたColorectal Adenoma/carcinoma Prevention Programme 2 (CAPP2)試験の結果が報告されている。リンチ症候群に関連する大腸がんは最もよく見られる遺伝性の大腸がんで、ミスマッチ修復遺伝子の生殖細胞系列での変異により生涯の大腸がんリスクは70%になり、他に子宮、小腸、卵巣のがんも多い。CAPP2ではリンチ症候群キャリアの937人を高用量アスピリン(600 mg)+難消化性でんぷんプラセボ、難消化性でんぷん30g+アスピリンプラセボアスピリン+難消化性でんぷん、アスピリンプラセボ+でんぷんプラセボの4群に割り付けた。平均29ヶ月後の初期解析ではアスピリンもでんぷんも大腸腺腫やがんに影響はなかったが今回報告された861人をフォローした56ヶ月後の結果ではアスピリン群には大腸がん(腺腫との合計ではなく)の発症が少なかった。

Long-term effect of aspirin on cancer risk in carriers of hereditary colorectal cancer: an analysis from the CAPP2 randomised controlled trial
The Lancet, Volume 378, Issue 9809, 17 December 2011-6 January 2012, Pages 2081-2087
John Burn et al.,

・がん研究者の結婚リスク
Marriage risk of cancer research fellows
Martin F Fey, Andreas Tobler
Volume 378, Issue 9809, 17 December 2011-6 January 2012, Pages 2070
1993年から2008年の平均29才で36ヶ月の我々の研究室で学位をとるために研究をしていた13人(男性12人女性1人)の結婚リスクはほぼ100%。スイスの統計ではスイス人の結婚リスクは全体で44.5%で年齢を調整するとたった38.6%なので有意差検定をするまでもなく、がん研究者の結婚リスクは高い。結婚による有害影響は確認されていない。
BMJみたい)
他に食事と運動についての論文http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20110711#p10や肥満規制枠組み条約の提案http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20110830#p18へのコメント、今年の10大ニュースがある