食品安全情報blog過去記事

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サッチャー元首相はどの素粒子を説明するのに使われているのか?

Maggie Thatcher is used to describe which elementary particle?
Terrence Collis
25 January 2012
http://blogs.food.gov.uk/science/entry/maggie_thatcher_is_used_to
「食品に関するリスク−ベネフィットメッセージについての消費者の好み」と題した研究論文を偶然みつけた私は興味をもった。単純に消費者とのリスクコミュニケーションについての知見が得られるかと思ったが、要旨を読んだところ何も得られなかった。
私は現役の科学者ではないが昔化学の学位をとりそこそこのインテリである。でも率直に言ってこの研究の要旨は全く理解できない。少なくとも消費者とのコミュニケーションにおいて我々が語ることができるのは明確に、ということである。私は特にこの論文を非難したいのではなく、これは「研究用語」で書かれている多数の研究報告書の一例に過ぎない。
もし我々が科学に興味をもち、科学者や一般市民と信頼関係を築きたいのなら、近づきやすい方法でコミュニケーションをとる努力をもっとする必要がある。それはレベルを下げるという意味ではなく、平均的読者にとって別のことを意味する単語に置き換えるだけということではない。科学にとって正確であることはとても重要で、それは必ずしも簡単なことではないが、Science Media CenterやSense about scienceのようなグループが既にこの困難な課題に取り組んでいる。
我々全てがもう少し努力すればできることがあるだろう。出発点として、誰かこの研究に役に立つ結論があるのか私に教えてくれるか、あるいは翻訳してもらえないだろうか?
難しい科学を賢く説明したい人達は、Higgs Fieldをサッチャー元首相が保守派のカクテルパーティーに入ってくるイメージで説明したものを検索して見て欲しい。

問題の論文
Consumer preferences regarding food-related risk-benefit messages
British Food Journal, Vol. 114 Iss: 3
Heleen van Dijk et al.,
http://www.emeraldinsight.com/journals.htm?issn=0007-070X&volume=114&issue=3&articleid=17014263&show=abstract
(わりとありがちなもの。結論らしき部分が「食品の選択には寿命とクオリティオブライフの両方への影響の総量についての情報が意味があることがわかった。DALYsはあまりにも複雑だと(消費者は)考えている」。どこが意味不明かというと「寿命とクオリティオブライフの両方への影響の総量についての情報」こそがDALYsなわけで。ちなみにこの論文のラストオーサーはLynn J Frewer でWageningen大学の食の安全と消費者行動の教授、皮肉なことにコミュニケーションの専門家。http://www.cfs.gov.hk/english/whatsnew/whatsnew_act/whatsnew_act_11_intlsympo_biography.html

サッチャー元首相の喩えは
http://www.samiraahmed.co.uk/?p=1689