食品安全情報blog過去記事

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砂糖はアルコールと同じくらい有害?

Is sugar as toxic as alcohol?
February 2nd, 2012.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2012/02/02/is-sugar-as-toxic-as-alcohol/
ある「挑発的」記事で、何人かの科学者が砂糖をアルコールや煙草のような有害物質として規制すべきと主張したことで議論を呼んでいる。
記事はNatureに発表されたもので、甘味料を加えることは健康に悪いのでアルコールのように規制することが正当化できると主張している。健康への悪い影響とそのための医療費を取り上げて、著者は食品への砂糖の添加を減らすための政府の介入を求めている。記事は「最終的には、食品製造業者や販売業者は食品に加える砂糖を減らすべきだ。しかし砂糖は安価で美味しくて売れるので企業にはインセンティブがない」という。著者はFDAは最早砂糖をGRASリストから外し砂糖の多い食品には課税などの制限をするべきだという。
オーストラリアSMCが専門家に意見を求めた。
栄養経済学Prof Leonie Segal
添加された糖に注目するのはタイムリーで介入は検討に値する。砂糖より飲酒のほうが有害影響は大きいが、砂糖の過剰摂取の方が頻度は高いので集団レベルでの介入に意味がある。
糖尿病栄養介入部門の長Prof Peter Clifton
アルコールの有害性は単に代謝の問題ではなく暴力や交通事故を誘発する。砂糖の有害影響の根拠はほとんどが疫学で、関連があることは必ずしも原因であるわけではない。砂糖は食べ過ぎの一形態に過ぎず、でんぷんでも脂肪でも同じで、アルコールと同様ではない。
栄養士Dr Alan Barclay
この記事は議論を巻き起こすための挑発的なもので、多くの事項はオーストラリアにはあてはまらないし一部はほとんど根拠がない。「砂糖」が問題なのではなく、もっと複雑である。著者は世界で50年間に砂糖の消費量が3倍になったと言っているが、オーストラリアでは1980年から砂糖の消費量が23%減った。それにも関わらず肥満や過体重は2倍に増えている。他のどんなものでも同じだが、砂糖は適量を食べるべきである。砂糖だけを悪役にして規制するのは根拠が無く不必要で誤解を招くものである。

  • Natureの記事

公衆衛生:砂糖の有毒な真実
Public health: The toxic truth about sugar
Robert H. Lustig, Laura A. Schmidt& Claire D. Brindis
Nature Volume:482, Pages:27–29
http://www.nature.com/nature/journal/v482/n7383/full/482027a.html
・砂糖の消費量は非伝染性疾患の増加と関連する
・人体への砂糖の影響はアルコールと同様
・課税や販売制限などの規制が必要
(1人1日あたり600Cal以上を野菜や果物を除いた砂糖から摂っているという国はアメリカしかない。そもそもアメリカは肥満の原因を脂肪のせいにして失敗した経験があるのに。)