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US environment agency misses dioxin deadline
06 February 2012
http://www.nature.com/news/us-environment-agency-misses-dioxin-deadline-1.9975
EPAが自分で設定したダイオキシン規制への助言発表締め切りを守らなかった。1月31日が過去20年にも渡る再評価プロセスの一部だったが、今はEPAは日時には言及せずに「できる限り迅速に」ガイドラインを最終化すると約束している。
ダイオキシンの規制については環境科学者と企業のロビイストは対立しているが、どちらもEPAがあまりにも時間をかけていることには怒っている。評価は法的な拘束力をもつものではなく、その助言は政策決定者の参考にされる。
ダイオキシン類は約30の化合物を含み、ホルモン経路をかく乱したり生殖や発生に影響したりがんを誘発したりする。米国人のダイオキシン曝露の多くはゴミ焼却や銅の精錬、パルプ製造の排気由来である。規制により1980年代から排出量は90%減ったが、環境中に長く留まるため肉や乳製品から検出され続けている。
EPAは1985年に最初の評価を発表し、1991年に新しいデータを取り入れて再評価することにした。しかし1994年にEPAの科学助言委員会が報告書案に「危険の可能性について過剰に見積もる傾向」があり科学的不確実性を記述していないと警告した。その後「規制の有効性センター」を設立したJames Tozziが、しっかりした科学に基づいていないとEPAの再評価を停止させる裁判をおこした。裁判の一環として米国科学アカデミーがEPAの報告書をレビューし、科学助言委員会と同様の懸念を表明した。
EPAは2010年に再評価案を発表し、1日に体重1kgあたり0.7 ピコグラム以下を助言した。これはWHOの約2.3 pg/kg/日より低く、米国の現在の平均摂取量は0.5-3 pg/kg/日と推定されている。EPAの厳格な助言はがん啓発団体や環境保護団体から歓迎されたが化学や農業団体は消費者に不必要な警鐘をあたえるものだと抗議している。
NASのレビューを作成した科学者はEPAはまだあまりにも慎重すぎると言っている。EPAは安全側に最大限の誤差をとっている。我々は利益と費用のバランスをとらなければならない。高用量のダイオキシンはリスクがあるということについては他の科学者もEPAに同意している。しかし不正確な外挿には賛成しない。