食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

ファクトシート:イチョウ

Ginkgo
February 2012
http://www.niehs.nih.gov/health/assets/docs_f_o/ntp_gingko.pdf
イチョウとは?
世界で最も古い生物の一種である。
イチョウ抽出物とは?
イチョウの葉から抽出したもので市販製品の実際の組成は製造業者により多様である。
何故一部の人はイチョウサプリメントを飲むのか?
米国ではハーブサプリメントとして販売されている。摂る理由は様々であるが多くは脳機能や記憶を改善する目的である。しかしながら効果を検証するための臨床試験ではメリットは見られなかった。
イチョウ抽出物についての規制はあるのか?
ダイエタリーサプリメントとしてFDAが管轄しているが医薬品とは違って安全性や有効性の確認を必要としない。
何故NTPはイチョウ抽出物の試験をしたのか?
NTPによる多数のハーブ製品の安全性評価計画の一環として、NIEHSは毒性データが少なく広く使われているものとして選んだ。
NTPのがん原性試験の結果は?
NTPはマウスとラットで長期影響を調べた。イチョウ抽出物を最大105週経口投与した。2年間の実験の終わりに、NTPは雌雄マウスで肝臓がんが、雌雄ラットと雄のマウスで甲状腺がんが増加していることを発見した。
NTPの試験が人に対して意味することは?
NTPの齧歯類での研究はヒトにもあてはまる可能性がある。しかしながらこの研究はダイエタリーサプリメントとしてイチョウ抽出物を摂ることがヒトがんリスクになるかどうかを決定するための第一段階に過ぎない。次に抽出物中のがんを誘発する物質の同定や人がどれだけ摂っているかの追加情報の収集などが必要である。
イチョウの健康へのメリットは見つかっているのか?
今日まで最大規模のイチョウ臨床試験では、2000年から2008年の間に75才以上の3000人のデータを調べた。半分はイチョウを摂り、半分は摂らなかった。全員に思考能力検査を行い、120 mgを1日2回摂ることによる認知症削減、認知機能低下、血圧低下、心血管系疾患イベント削減作用は見られなかった。
私はイチョウサプリメントを止めるべきか?
消費者はイチョウが脳の機能を改善させるという結果が一貫して出てないことを知るべきである。NTPの新しい試験では長期の使用によりラットとマウスの両方でがんができたこともまた考慮するべきである。さらにイチョウは他の薬物と相互作用して薬物の影響を強めたり弱めたりする。ダイエタリーサプリメントを摂るか摂らないかも含めて、あなたの医師には全ての健康対策を伝えることが常に重要である。