食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

その他ニュース

  • 生検はがんの多様性の一面でしかない

Natureニュース
Biopsy gives only a snapshot of tumour diversity
07 March 2012
http://www.nature.com/news/biopsy-gives-only-a-snapshot-of-tumour-diversity-1.9998
がんゲノムは場所により異なる
NEJMに発表された研究で、がんのどの場所から生検を取るかで性質が違うことが確認された。多くのがん研究者は直観的に多様性があるだろうと感じていただろうが、この研究で確実な証拠が得られた。
Intratumor Heterogeneity and Branched Evolution Revealed by Multiregion Sequencing
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1113205?query=featured_home
エディトリアル
Tumor Heterogeneity and Personalized Medicine
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMe1200656?query=featured_home
(がんに関連したバイオマーカー研究にとってこれはずっと問題になっていた。がんは悪性化すると変異が加速していくように見えるので、遺伝子の変異があったといってもそれは変異したからがんになったのか、がんになったから変異したのかの区別ができない。)

  • Nature今週号は日本の特集:表紙は陸前高田の松

・三重災害の教訓
Lessons of a triple disaster
Nature Vol. 483 pp123 (08 March 2012)
15000人以上が死亡または行方不明になり数千平方キロメートルが放射能汚染された事故について過ちを見つけるのは簡単だ。しかしもし科学者や技術者や救急隊員などがいなければもっとたくさんの人が死んでいたかもしれない。何が間違っていて何が正しかったのかを学ぶべきである。

・日本の核危機:福島の恐怖の遺産
Japan's nuclear crisis: Fukushima's legacy of fear
日本の事故は10万人以上を避難させた。多くは今や安全に帰宅できる。しかし政府への不信が亡命を長引かせている。
ドイツの放射線防護局の物理学者Wolfgang Weissによれば、速やかな避難と注意深いスクリーニングにより福島の市民は危害を免れたことは既に明らかである。彼の同僚の解析から、一般の人々に危険な量の放射線を浴びた人はいないことが示唆されている。
しかし政府への不信が大きく、政府は信頼を取り戻すために非現実的な除染目標を掲げた。しかし政府による野心的な除染目標は避難している人達に不必要な恐怖を与えることで有害である。さらに低い基準値は福島の経済にダメージを与える。
厳しい基準値を設定するより人々との対話して彼らに決めさせることが必要。

  • 米国の規制機関は発がん性ソーダという知見に異議を唱える

US regulators dispute finding of cancer-causing soda
March 5
http://www.reuters.com/article/2012/03/06/soda-fda-idUSL2E8E5DSB20120306
米国の監視団体CSPIがコカコーラやペプシコーラなどに使われているカラメル色素に安全でない量の発がん物質が含まれていると報告したが、FDAは健康リスクはないと言っている。
齧歯類で発がん性が示されている4-メチルイミダゾールが12オンスの缶一本あたり140 microg近く検出されたとCSPIは報告した。カリフォルニア州では4-MIの法的基準値は29 microgだという。FDAのカラメル色素中4-MI規制値は250 ppmであるがソーダ飲料の中では薄められる。CSPIの検出した量は0.4 ppmである。FDAのスポークスマンDoug Karasは、齧歯類でがんが発生した量を摂るには消費者は1日に1000缶以上を飲まなければならないだろう、という。

  • Lower Mainlandの学校ではWi-Fiの安全性を巡って保護者が二つに分かれる

Parents divided over Wi-Fi safety in Lower Mainland schools
March 7, 2012
http://www.straight.com/article-626926/vancouver/parents-divided-over-wifi-safety-schools
学校にワイヤレスインターネットシステムを導入するか否かを巡って保護者が真っ二つに分かれている。全ての学校で禁止すべきだという強い意見をもったたくさんの保護者と、まったくの戯言だという意見のたくさんの保護者がいる。もしあなたがどっちでもなければ双方から説得されるだろう。これは極めて宗教的な問題だ。
IARCは携帯電話やWi-Fiなどの電磁場をコーヒーやニッケルと同じ「ヒト発がん性の可能性があるpossibly carcinogenic」に分類している。科学者の意見はそれほど割れてはいない。