食品安全情報blog過去記事

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食品添加物としてのブチルヒドロキシトルエンBHT (E 321)の再評価に関する意見

Opinion on the re-evaluation of butylated hydroxytoluene BHT (E 321) as a food additive
EFSA Journal 2012;10(3):2588 [43 pp.].
07 March 2012
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/2588.htm
BHTはJECFAが1996年に、SCFが1987年に評価している。SCFはラットにおける甲状腺と生殖と血液学的影響をもとにADI 0-0.05 mg/kg bw/dayを設定した。JECFAはラットの2つの別々の二世代試験で見られた生殖影響と肝酵素誘導をもとにADI 0-0.3 mg/kg bw/dayを設定した。ANSパネルはBHTに遺伝毒性の懸念はなく、発がん性があったとしても閾値があると結論した。SCFの評価のあとで2つの新しい二世代試験が報告され、それがJECFAのADIの根拠となっている。いずれの試験でもNOAELは25mg/kg bw/dayである。全体として、ANSパネルは現在のデータからはADIを改訂する理由になると結論した。NOAEL 25mg/kg bw/dayに不確実係数100を用いてADIは0.25 mg/kg bw/dayを導出した。NOAELの25mg/kg bw/dayは雄ラットの肝細胞がん頻度から導出されたBMDL10の 247 mg/kg bw/dayより小さいので、このNOAELでBHTの長期試験で観察された肝細胞がんもカバーできる。成人のBHT暴露は平均及び95パーセンタイルで新しいADIを超過することはありそうにない。子どもについては食品添加物としての使用による暴露量は平均ではADIを超過しないが一部の国(フィンランドとオランダ)では95パーセンタイルで超過する。