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JAMA

  • 新生児禁断症候群と関連する医療費

Neonatal Abstinence Syndrome and Associated Health Care Expenditures
United States, 2000-2009
Stephen W. Patrick et al.,
Published online April 30, 2012. doi: 10.1001/jama.2012.3951
エディトリアル
処方鎮静剤の濫用と新生児禁断症
Epidemic of Prescription Opiate Abuse and Neonatal Abstinence
がんや慢性痛のコントロールに効果がある麻薬性鎮痛薬の濫用による新生児の禁断症状が2000年は1000件の病院での出産あたり1.20だったのが2009年は3.39に増加した

Viewpoint
JAMA. 2012;307(17):1803-1804. doi: 10.1001/jama.2012.518
Studying Complementary and Alternative Therapies
Paul A. Offit, MD
1992年に議会が代替医学研究室(OAM)を予算200万ドルで作った。アイオワ州の政治家Tom Harkinと Berkeley Bedellに支持され、OAMのミッションは「厳密な科学の文脈で補完・代替療法を研究すること」だった。Harkin上院議員はミツバチ花粉が彼の花粉症を治したと、Bedell下院議員は乳牛の初乳が彼のライム病を治したと信じていると伝えられる。彼らはOAMが代替医療の有効性を証明して医学の主流になることを望んだ。
1999年にOAMはNIH下のセンターであるNCCAMになった。資金は増加し続け2012年のNCCAMの年間予算は1億3000万ドルになる。創設以来、OAMとNCCAMは16億ドルを費やした。米国の納税者はお金が有効に使われたかどうか尋ねる権利がある。
NCCAMの支持者は伝統薬が将来の主流医薬品になるかもしれないという。例えばヒポクラテスが柳の葉を使ったことが1800年代のアスピリンに、ごく最近では漢方薬成分からアルテミシニンが見つかったように。
しかし植物由来薬物の研究とは違って、多くのNCCAMの出資した研究は生物学的根拠がない。例えばNCCAMはレモンやラベンダーの香りが傷の治癒を促進する効果はないということを証明するために374000ドルを使った。祈りがAIDSを治さないことを示すのに75万ドル、磁石が関節炎を治さないことに70万ドル、コーヒー浣腸が膵臓がんを治さないことに406000ドル。
NCCAMが資金を提供した研究で補完代替療法プラセボ以上の効果はないことが証明されても、補完代替療法支持者は生物学的にありそうもない仮説のネガティブデータには価値があるという。例えば1998年にWakefield がMMRワクチンが自閉症の原因だと主張した。彼の主張に生物学的意味はないがメディア報道により英国ではMMRワクチンの接種率が下がり多くの子どもたちが入院し死亡した。公衆衛生当局や学会は疫学研究を行ってワクチンのチメロサール自閉症には関係がないことを示したがこれらはNCCAMが研究費を出していない。このネガティブデータには保護者の不安を鎮めるという価値がある。
しかし補完代替医療についてのネガティブデータに同じような価値はあるだろうか?最も良い回答はNCCAMがお金を出したダイエタリーサプリメントマルチビタミンの研究にある。多くの結果がサプリメントに効果がないことを示したが消費者はほとんど知らず売り上げは増加している。
補完代替療法については一部の人は信じたいことを信じているようで、データは関係ない。データが行動に影響を与えないならNCCAMの仕事に意味はないだろう。NCCAMのミッションを見直すか、リソースを他に配分した方がいい。