食品安全情報blog過去記事

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その他ニュース

  • 褐色にならないリンゴが2014年にも販売されるかも−スライスして何週間も白いままのGM果物

Daily Mail
Apples that never go brown could be on sale by 2014 - with GM fruit staying white for weeks even if sliced up
24 May 2012
http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-2149328/Apples-brown-sale-2014--GM-fruit-staying-white-weeks.html
褐色に変化させる遺伝子を「沈黙させた」GMリンゴ2品種について、カナダのバイオテック企業Okanaganが規制機関に認可申請した。一方反対運動も始まっている。
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20120507#p19

Miracle sweetener stevia faces potential EU hurdles
Published 24 May 2012 - Updated 30 May 2012
http://www.euractiv.com/cap/sweetener-stevias-aftertaste-may-news-512956
ここ2年ほどの間に、人工甘味料不信でナチュラルを求める消費者の需要に応えて、ステビアが各種製品に使われるようになってきた。しかしステビアにはしばしば甘草に喩えられる強い苦い後味があり、アスパルテームサッカリンスクラロースより遙かに高価である。ステビアの後味を緩和するためにコカコーラのファンタなどは砂糖を入れ続けている。ダノンも消費者からの反応が悪いためにステビアヨーグルトのレシピを更新しようとしている。しかし苦い後味の解決法は難しい。
さらに一部のEU市場で「ナチュラル」という定義にもあてはまらないかもしれない。甘味成分はステビアから水ではなくエタノールで抽出しているため「ナチュラル」とは宣伝できない可能性があり、そうなるとマーケティング戦略が損なわれる。
ステビアの高強度甘味料での市場シェアは1%未満であるが増加率は高い。

  • ビデオ:ゴキブリとヤモリが驚くべきアクロバットで「消える」

ScienceNOW
Video: Cockroaches and Geckos 'Vanish' With Amazing Acrobatics
6 June 2012
http://news.sciencemag.org/sciencenow/2012/06/video-cockroaches-and-geckos-van.html?ref=hp
同じだ・・

  • WALT DISNEY 社は子ども向け食品宣伝に新しい基準を設ける

THE WALT DISNEY COMPANY SETS NEW STANDARDS FOR FOOD ADVERTISING TO KIDS
June 4, 2012
http://thewaltdisneycompany.com/disney-news/press-releases/2012/06/walt-disney-company-sets-new-standards-food-advertising-kids
ディズニーがスポンサーとなっている子どもやファミリー向け番組で宣伝される食品や飲料は栄養ガイドラインに従う。さらにディズニーの栄養基準に従っている食品やメニューには「ミッキーチェック」をつけて健康的な食事を促進する。
ガイドラインの内容は以下から
http://thewaltdisneycompany.com/sites/default/files/MOHL_Nutrition_Criteria_2012.pdf
カロリー、飽和脂肪、砂糖、ナトリウム、トランス脂肪等の基準
(メディアではジャンクフードが問題って報道されているけれど、厳しいのはナトリウム。ちゃんとした食事一食分でナトリウム740mg (塩1.87g)未満でないと不合格だから和食全部アウトじゃないかな。)

Death cap mushroom puts woman in hospital
June 7, 2012
http://www.theage.com.au/victoria/death-cap-mushroom-puts-woman-in-hospital-20120607-1zy7z.html
メルボルンの女性が毒キノコを食べて入院
(オーストラリアでキノコ中毒は多くはないのだけれど)

  • 食糧安全保障:地球規模で食べる

Nature書評
Food security: Eating globally
http://www.nature.com/nature/journal/v486/n7401/full/486030a.html
The Locavore's Dilemma: In Praise of the 10,000-Mile Diet
地産地消のジレンマ:1万マイル食を讃える
Pierre Desrochers と Hiroko Shimizuの地元産食品だけを食べることに反対する主張をTom MacMillanが味わう
地産地消ブームの中で、あなたは自分が地元産食品をたくさん食べていると思うかもしれない。しかし英国や北米ではそれはほんの僅かで、英国の購入者の1/3が地元産を買っていると答えているものの市場でのシェアは2-3%である。
The Locavore's Dilemmaでは地理学者のThe Locavore's Dilemmaと経済学者のHiroko Shimizuが地産地消を農業・経済・環境上の地獄への道だとしている。
地産池消はナチュラルな食品と牧歌的田舎という虚構の過去へのロマンであって現実的にはそれは費用が嵩み貧困が増し環境に悪いという。
ただし評者はこの本の弱点も指摘する。

  • 頭の中のがん 

NYT
Cancer on the Brain
June 2, 2012, 5:00 pm By DAVID ROPEIK
http://opinionator.blogs.nytimes.com/2012/06/02/cancer-on-the-brain/
(適当に抜粋)
去年友人から電話があった。彼は前立腺がんで私にどう考えたらいいか助けを求めていた。彼は医者に身体状況については詳細を聞いていた。私に助けを求めたのは彼が直面している過剰な恐怖−一部では「がん恐怖症」と呼ばれているものとのつきあいかたについて、だ。彼は自分の前立腺がんは症状が出ないうちに検出されたもので増殖が遅く、彼の年齢を考えると症状が出たりそれが原因で死んだりするようなものではないことを知っていた。さらに治療の副作用−毎年何千人もの男性が、害があるかもしれないからではなく、がんと一緒に生きる恐怖を取り除くために手術をして、尿失禁や直腸出血、性的不能になっていること−も知っていた。
それでも彼は治療に気持ちが傾いていて、感情のせいで理性的判断ができなくなっていることを認識していた。私はリスクの認知はしばしば事実ではなく感情により大きく基づくこと、そしてがんへの恐怖は広く深く浸透していて、これらの不安を理解することはあまり役に立たないだろうと話した。でも私はできるかぎりのことをした。
物理的なリスクは、実際より怖く思えたりあまり怖くなかったりする心理的特徴を持つ。がんは最も強烈な感情的警告の引き金を引く。ひとつは痛みや苦痛が伴うこと、それからコントロール可能かどうかで、がんはほとんどのひとが制御不能だと考えている。そして多くの人がいまだがんの診断は死刑宣告だとみなしている。
またがんは烙印とされてきた。心理学的にがんという言葉を聞くとあらゆる悪いことを想起させる。このようながん恐怖症は1950年代から60年代に一般の人々の意識に上ったことに根源がある。日本への原子力爆弾の投下と冷戦が我々の意識に核兵器による人類滅亡の現実的脅威を焼き付け、深い恐怖は核兵器実験による大気からの放射性降下物への恐怖と密接に関連づけられた。放射性降下物の健康影響、恐怖の理由は、がんだった。
1950年代に初めて一般向けに発表された根拠は喫煙による発がんだった。そして60年代に近代的環境ムーブメントがわきおこるとがんの脅威は中心的テーマになった。Rachel CarsonのSilent Springではまるごと1章をがんにあて、我々は「発がん物質の海に生きている」と警告している。この恐怖を身近に感じさせるために、彼女はいつも工業化学物質の危険性を放射線リスクと比べた。
がんそのものの恐ろしい性質をこれらがさらに増幅し、がんが今日のアメリカ人の主要健康問題であると宣言したがん対策法が1971年成立する。
最近のHarris世論調査では米国で最も恐れられている病気はがんである。次がアルツハイマーである。こうした恐怖のおかげで、たくさんの法律や規制ができ、行動変化につながり、相変わらず恐ろしい病気ではあるがリスクは下がってきた。しかしがん恐怖症は大きいままである。
がん恐怖症による健康被害はいろいろな意味で大きい。がんの過剰診断による健康被害のいくぶんかはがん恐怖症による。
がんの恐怖は血圧を上げ他の病気のリスクを上げるだろう。がんとともに生きる恐怖に対処できなければがん恐怖症だけで病気になるかもしれない。
私の友人は放射線治療を選択し、それは彼に夜二時間おきにトイレに行かなければならないという副作用を残した。それは彼の身体的病気を治療するためではなく、彼が直面できなかった強力な恐怖を治療するために喜んで支払った代償だった。