食品安全情報blog過去記事

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ミネラルオイル炭化水素:EFSAはこれらの複雑な化合物について意見を発表

Mineral oil hydrocarbons: EFSA publishes opinion on these complex compounds
6 June 2012
http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/120606.htm
EFSAはミネラルオイル炭化水素(MOH)として知られる多様なグループの混合物への食事からのヒト暴露についての科学的意見を発表した。MOHのヒト健康への影響の可能性は大きく異なり、いわゆる「芳香族」MOHは遺伝毒性発がん性物質として作用する可能性があるが一方一部の「飽和」MOHはヒト組織に蓄積し肝臓に有害影響を与える可能性がある。この意見では食品からのMOH暴露に関して懸念の可能性をいくつか同定した。しかしながらEFSAの専門家はヒトが暴露されているMOH混合物の化学組成と、多様なヒト暴露源についていくつかの不確実性があることを強調している。さらにこれまでの動物実験のヒトへの毒性学的妥当性がないという新しい情報にもとづき、特定の食品についての一部の飽和MOHの暫定ADIは改訂すべきとした。

Opinion on Mineral Oil Hydrocarbons in Food
EFSA Journal 2012;10(6):2704 [185 pp.].
6 June 2012
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/2704.htm
消費者は食品から一連のミネラルオイル炭水化物(MOH)に暴露されている。ミネラルオイル飽和炭水化物(MOSH)は直鎖及び分岐鎖アルカンやアルキル置換シクロアルカンからなり、ミネラルオイル芳香族炭化水素(MOAH)は主にアルキル置換多環芳香族炭化水素を含む。通常物理化学的性質により分類されている製品は、オイルの由来により化学組成が異なる。工業グレードのMOHは15-35%のMOAHを含み、食用ホワイトミネラルオイルMOSH)ではMOAHは最少化されている。食品中のMOHの主な由来は食品包装や添加物、加工助剤、潤滑剤である。推定MOSH暴露量は0.03-0.3 mg/kg体重/日の範囲で子どもで多い。パンや穀物の特定の製造工程により追加のMOSH暴露がある可能性がある。ホワイトオイルを除くとMOAHへの暴露はMOSHの暴露の約20%である。炭素数35以上のアルカンの吸収は無視できる。分岐鎖および環状アルカンは直鎖アルカンより酸化効率が悪い。炭素数16から35のMOSHはリンパ節や脾臓、肝臓などの臓器に蓄積し、小肉芽腫を作る可能性がある。Fischer 344ラットにおける炎症を伴う肝臓の小肉芽腫が重要な病変だと見なされた。最も作用の強いMOSHの肝小肉芽腫誘発のNOAELである19 mg/kg b.w. per dayをバックグラウンドMOSH暴露のMOE計算の参照点とした。MOEは59-680の範囲だった。従ってヨーロッパにおけるMOSHのバックグラウンド暴露は懸念の可能性があるとと考えられる。非または単純アルキル化された3つまたはそれ以上の芳香環のあるMOAHは変異原性で発がん性がある可能性があり、懸念となる可能性がある。一部の食用MOSHの既存ADIについては新しい毒性情報をもとに改訂する必要がある。
MOHの食事からの暴露の相当量はリサイクル包装からの汚染である可能性がある。これは機能的障壁を使うことで予防できる。あるいはリサイクルの時に食品用に使うのはMOHを使っていない製品のみにするなどである。