食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

ネコを飼っている女性は自殺リスクがあるのか?

Behind the Headlines
Are women who own cats a suicide risk?
Tuesday July 3 2012
http://www.nhs.uk/news/2012/07July/Pages/toxoplasmosis-in-cat-faeces-and-suicide-risk.aspx
Daily Telegraphが「キャットレディは自殺を企てやすい」といい、ネコに囲まれた寂しいひとりぼっちの未婚女性が自傷行為をするというイメージをまき散らした。しかし事実は違う。Telegraphの話はデンマークの母親で後に自傷行為をするヒトがトキソプラズマ抗体を持っていることが多いという研究に基づく。Toxoplasma gondiiはトキソプラズマ症を誘発する寄生虫でその予防には衛生が重要である。ネコの糞や洗っていない野菜、加熱不十分な肉、汚染した水から感染することがあり、妊婦が感染すると胎児にも感染することがある。トキソプラズマ症は世界の人々の約1/3が感染し、ほとんどの場合症状はないが妊婦や免疫系が弱いヒトが感染すると重症になることがある。これまでの研究でトキソプラズマ感染と統合失調症自傷の関連が報告されたことがあり、この研究はそれを調べた者である。子どもを産んだ45788人の女性コホートのうち1/4以上がトキソプラズマ感染歴があった。自傷をしたことのない45271人の母親のうち後に自傷をするのはわずか1%であった。トキソプラズマ抗体のある女性は53%自傷率が高かった。しかしこれはトキソプラズマ感染が自傷の原因であることを証明するものではない。この研究では調べていないたくさんの精神衛生的、医学的、個人的、社会的原因があるだろう。さらにこの研究はネコを飼っているかどうかを調べたものではない。ネコを捨てる必要はない