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その他ニュース

  • 父親は年をとるとより多くの突然変異を伝える

Natureニュース
Fathers bequeath more mutations as they age
22 August 2012
http://www.nature.com/news/fathers-bequeath-more-mutations-as-they-age-1.11247
ゲノム研究が父親の年齢と自閉症のような状態との関連を説明するかもしれない
1930年代に遺伝学のパイオニアJ. B. S. Haldaneが血友病の変異が父から娘へ伝わることに気がついた。Haldaneはその後子どもは母親の突然変異より父親の突然変異を受け継ぎやすいという説を提案したが、証明するのは困難だろうとした。
しかしその時は来た:アイスランドのたくさんの家族のホールゲノム配列決定がHaldaneの説の根拠を提供した。さらにNatureに発表された研究では子どもが受け継ぐ突然変異の数は父親の年齢に依存することを発見した。父親の年齢が高くなるほど自閉症統合失調症に関連する新しい突然変異を子どもに伝える可能性が高くなる。さらに何故父親のほうが突然変異を多く伝えるかについては、母親の卵母細胞は生まれたときに既に揃っているが父親の精子前駆細胞の分裂により作られ、分裂するたびに新しい変異が生じる。
アイスランドでは1980年代の父親の平均年齢は28才で平均60の新しい突然変異をもち、2011年には父親の平均年齢が33才になって突然変異の数は70個になったと推定される。

ScienceNOW
Do Antibiotics Make Us Fat?
byKai Kupferschmidt on 22 August 2012
http://news.sciencemag.org/sciencenow/2012/08/do-antibiotics-make-us-fat.html?ref=hp
農家は成長促進のために長い間家畜に抗生物質を使ってきた。今、科学者が人生の初期に抗生物質を投与されると子どもが太ると主張している。研究者らは抗生物質が腸内細菌の構成を変えて長期にわたって影響すると信じている。
しかし他の科学者はこの結論を疑っている。新しいデータはしっかりしたものではない、とドイツポツダムヒト栄養研究所の微生物学者Michael Blautは言う。またPalo AltoのStanford大学医学部の微生物学者David Relmanはこの仕事を「挑発的であるがデータの一部は明確ではない」という。
ヒトや動物の腸内にはたくさんの微生物が住んでいる。これらの微生物についての研究はマイクロバイオームとよばれるが、まだ緒についたばかりである。一部の腸内生物は我々の食事の分解に重要な役割を果たしている。また低用量の抗生物質が家畜を太らせるのは腸内細菌を変えるからだと疑っている科学者もいる。
この仮説を調べるためにニューヨーク大学医学部の微生物学者Martin Blaserは離乳したばかりのマウスの飲料水に抗生物質を加え、7週間後に抗生物質の入っていない水を飲んだマウスより太ることをNatureにオンライン発表した。
抗生物質は動物の腸内の微生物の数を減らすことなく組成を変えた。Blaserはこの結果がヒトにも当てはまると主張していて、共著の昨日発表されたInternational Journal of Obesityの論文で乳児の抗生物質の使用と子どもの肥満の関連を報告している。
しかし他の研究者はヒトの論文での差は小さく7才時点では関連はなくなっていることを指摘し、マウス実験からヒトの話はできない理由をたくさん指摘している。
マウスの試験でもマイクロバイオームの変化は実験の終わりに一度測定したのみで、この変化が原因なのか(脂肪が増えた)結果なのかはわからない。