食品安全情報blog過去記事

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Lancetから

The LancetVol.380 Number 9843 Aug 25, 2012

  • エディトリアル:オーストラリアのプレーンタバコ包装

Australia's plain tobacco packaging
オーストラリア政府のタバコプレーン包装法2011についての裁判が世界の注目を集めた。8月15日に世界のタバコ規制の重大な分岐点となる判断が下され、WHOは歓迎した。2001年にカナダでタバコの包装に画像による警告表示を求める規制が定められたり、アイルランドで2004年に初めて労働環境での禁煙が導入されたりした他の多くのタバコ規制一里塚と同様、プレーン包装にも多くの国が続くだろう。オーストラリアの勝利は国がタバコ企業に対応できることを確認した。このメッセージは現在タバコ企業が標的にしている中−低所得国で特に重要である。

  • グルテンフリーダイエット:必要なものか単なる流行か?

Gluten-free diets: vital or vogue?
James EverhartらがAmerican Journal of Gastroenterologyに報告した約7800人の調査による最近の研究では米国のセリアック病患者の有病率は0.71%(141人に1人)にも上る。セリアック病は消化管の疾患であるがその症状は慢性疲労や貧血や関節痛などあまり明確ではなく診断が難しい。Everhartらは米国のセリアック病患者の83%は診断されていないと推定している。診断されていないセリアック病患者を評価するための質の高い研究が必要である。これまでのところセリアック病の治療は生涯にわたるグルテン除去食しかない。グルテンを除去するのは困難であるが、推定160万人の米国民がグルテン除去を選択している。ほとんどはセリアック病ではなく、健康によいとされる他の理由でこのライフスタイルを選択している。
セリアック病患者の多くが自分の病気を知らない一方、患者でない何百万人がグルテンを排除しているという皮肉は公衆衛生上の茶番である。American Journal of Gastroenterologyの論文ではセリアック病の症状についての周知が必要であることを強調している。セリアック病の食事によらない治療法開発や健康な人のグルテン除去による健康影響ついてはさらに研究が必要である。