食品安全情報blog過去記事

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十代の大麻の使用とIQ-専門家の反応

SMC
Teen cannabis use and IQ – experts respond
August 28th, 2012.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2012/08/28/teen-cannabis-use-and-iq-experts-respond/
大規模なニュージーランドでの研究によれば、思春期の持続的依存性の大麻使用はその後の知能や注意、記憶の低下と関連する
ニュージーランド、英国、米国の研究者らのチームがDunedin コホート研究に参加した1000人以上のデータを解析し、思春期に大麻の使用を開始して数年間使った人は13才の時と38才の時のIQ検査を比較すると平均で8ポイントIQが低下することを見いだした。成人になってから大麻を始めた人ではそのようなIQの低下は観察されなかった。著者らは思春期の大麻使用は神経精神機能に有害であるというメッセージを伝える必要があると結論している。この研究はPNASに発表された。
SMCはニュージーランドの専門家にコメントを求めた。
オタゴ大学中毒センターDr Simon Adamson上級講師
この研究は強力な知見で、大麻の使用率が高いニュージーランドにとっては重要である。明らかに我々は若者の大麻使用を減らすための努力をすべきである。
オーストラリアSMCのコメント
クイーンズランド大学臨床研究センターWayne Hall教授
これまでの知見は後ろ向きや横断研究だったがこれは前向き研究であり根拠は格段に強い。この知見は若者の大麻使用を抑制する公衆衛生対策の必要性をさらに加える。
疫学研究では既に存在する違いによるという仮説(ここでは将来知能が低下する人が大麻を使いやすいという可能性)を完全に排除することはできないが、著者らはいくつかの統計解析を行ってそれがありそうにないことを示している。たとえば知能の低下が大麻の使用量や時間と相関する、教育レベルでは説明できない、など。
英国SMCのコメント
Kings College London精神医学研究所Robin Murray教授
これは極めて印象的な論文である。Dunedin コホートは世界で最もよく調べられているコホートでデータの質がよい。さらに担当した研究者らは世界でも最高の疫学者たちである。従ってこの知見は重要である。人々にこのリスクを知らせる公衆衛生キャンペーンを開始すべきである。

  • ニュースで報道された十代の大麻の使用とIQ

Teen cannabis and IQ in the news
August 28th, 2012.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2012/08/28/teen-cannabis-and-iq-in-the-news/
ニュージーランドのニュースへのリンク