食品安全情報blog過去記事

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がんとGMトウモロコシの研究 専門家の反応

SMC
Study on cancer and GM maize – experts respond
September 20th, 2012.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2012/09/20/study-on-cancer-and-gm-maize-experts-respond/
除草剤ラウンドアップで処理されたGMトウモロコシがラットの各種のがんを誘発したと主張する論文が発表された。しかし科学者はこの研究のデザインと解析を批判し、公表されているデータからは何も結論できないと批判している。
SMCは以下のコメントを集めた
ニュージーランドの専門家からのコメント
Auckland大学Liggins Institute上級研究フェローMark Vickers博士
著者がいうほどデータはしっかりしたものではない。飲食の量や成長曲線などの重要なデータがない。そのようなデータなしに論文が受理されたことが驚きである。SDラットは高齢になると腫瘍を生じやすい。
Auckland大学生物統計Thomas Lumley教授
除草剤によるがんのリスクの説得力のある根拠とは思えない。ラウンドアップでもGMトウモロコシでも死亡パターンに一貫性がない。すべての比較で高用量群で低用量群より死亡が少ないので著者が主張するように閾値があることを示すわけではない。

Otago大学生化学Peter Dearden准教授
セラリーニらの論文は使った動物の数が少なく解釈が困難である。研究の意味を理解するのに必須の対照群に関する情報が報告されていない。これは興味ある仕事であるが大きな欠陥がある。
オーストラリアの専門家からのコメント(AusSMCから)
Monash大学ヒト健康リスク評価Brian Priestly教授
この論文は毒性学的に説得力があるとは言い難いものである。
以下略

Melbourne大学Rick Roush教授
メディア報道とは違って、ラウンドアップGMについての長期研究はこれが初めてではない。GMについては100以上の餌で与えた研究がある。過去にもSeraliniらは同様の主張をしていてEFSAに却下されている。この論文自体にもかつてEFSAに指摘されたのと同じいくつかの間違いがある。
以下UK SMCの集めたものと同じ