食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

FDAはコメとコメ製品のヒ素濃度の予備的データを発表

FDA releases preliminary data on arsenic levels in rice and rice products
September 19, 2012
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm319972.htm
完全データは2012年末までに完了、FDAは追加の助言のための科学的根拠の提供を優先的に行う
FDAは食品の安全性を監視し汚染物質に対応するための積極的努力の一環として、ある種のコメやコメ製品のヒ素濃度についての予備的データを発表した。このデータはより大規模のデータ収集の一部であり、米国で市販されていた約200の検体のものである。
FDAはこの問題を徹底的に検討するため、合計約1200の検体を収集・解析中である。このデータ収集は2012年末に完了する予定である。データ収集が終わったら、その結果を解析して追加の助言をするかどうか決める。
FDAのデータはConsumer Reportsの発表と一致しているが、FDAの初期データ収集は現在進行中の、より包括的解析の最初のステップである。

Arsenic in Rice
Page Last Updated  09/19/2012
http://www.fda.gov/Food/FoodSafety/FoodContaminantsAdulteration/Metals/ucm319870.htm
FDAは約20年にわたってコメの総ヒ素の検査を行ってきた。2012年9月19日に、約200検体のコメとコメ製品の総ヒ素と無機ヒ素の両方についての初めての検査結果を発表した。FDAはさらに1000以上のコメやコメ製品検体を集めて分析しており、結果が出次第追加データを発表する。
検体には乳児用ライスシリアル、朝食シリアル、餅、コメ飲料など各種ブランドのコメやコメ製品が含まれる。FDAの科学者は総ヒ素と無機ヒ素、そして有害影響のある可能性のある2種類の有機ヒ素(ジメチルアルシン酸DMAとモノメチルアルシン酸MMA)を調べた。さらに結果は一食あたりの無期ヒ素の量でも示した。一食あたりの量は連邦基準で定義されている標準的に摂取される参照量に基づく。
FDAが発表した表は、各検体の一食あたりの無機ヒ素(iAs)をマイクログラムで示す。以下の要約はカテゴリーごとの平均量と範囲を示す。
バスマティ米 平均一食あたり無機ヒ素 3.5 microg レンジ 1.2-9.0 検体数52
コメシリアル 3.5 1.5-9.7 32
コメ飲料 3.8 痕跡-4.1 28
餅 5.4 3.0-8.2 32
バスマティ以外のコメ 6.7 2.2-11.1 49

  • Q & A:FDAのコメとコメ製品のヒ素解析

Questions & Answers: FDA’s Analysis of Arsenic in Rice and Rice Products
Page Last Updated: 09/19/2012
http://www.fda.gov/Food/FoodSafety/FoodContaminantsAdulteration/Metals/ucm319948.htm
ヒ素とは何か?
ヒ素ヒ素含有岩の崩壊や火山の噴火、採鉱や鉱石の製錬由来、過去に使用されたヒ素含有農薬などの天然および人工由来で環境中に存在する元素である。
コメやコメ製品を食べることについてFDAはどう助言するか?
現在入手できるデータと科学文献から、FDAはコメやコメ製品について現在の食生活を変えることを薦めてはいない。我々の助言は、栄養のためだけではなく、どんなものでも特定の一種類の食品だけを食べることによる影響を最小化するために、多様な穀物を含むバランスのとれた食生活をすることである。
・コメは食べても安全か?子どもが食べても安全か?
コメは多くの人々にとって重要で栄養価のある主食である。我々は現時点ではFDAヒ素を心配してあなたや子どもの食生活を変えるように助言するのは時期尚早であるだろうと信じる。研究には大量のコメおよびコメ製品を食べたヒトとヒ素に通常関連する病気との因果関係を示す科学的データが欠けている。しかしながら我々はこの件について研究を続けており、他の要因についても注意している。
・乳幼児の食べるコメシリアルについてはどうか?
乳児用コメシリアルはグルテンを含まずアレルギーになりにくく消化がよく、ビタミンやミネラルの良い供給源となるために長年使用されてきた。入手できるデータは限られるが、米国における乳児のコメ摂取による急性健康影響は報告されていない。
・子どもにコメ飲料を与えることには心配すべきか?
他の種類のコメ製品については、ヒ素の量を理由にFDAが子どもの食生活を変えることを助言するのは時期尚早であると信じる。しかしながらコメ飲料は乳児用ミルクとして牛乳の代用品としては適切ではない。たとえばカロリーが牛乳と同程度でもタンパク質や脂肪などの重要な栄養素が少ない。
FDAはConsumer Reportsの報告した知見や助言に同意するか?
FDAの約200検体の検査結果の予備的レビューに基づき、Consumer Reportsの報告した結果と一致している。しかし検出された濃度についてはConsumer Reportsの報告と一致しているものの、FDAはさらに多くのコメの品種や産地、コメを成分として含む多様な食品をカバーするためにさらに1000検体を集めて解析中である。これによりコメのヒ素への暴露量についてよりよく理解でき、リスク分析を行い、長期暴露を減らすための対応を検討することができるだろう。世界には多様な種類のコメがある。それらの栽培方法は異なり、年ごと、ロットごとにヒ素濃度が異なる可能性がある。
FDAはコメ製品にヒ素基準を設定し、動物にヒ素含有薬物を投与するのを禁止するというConsumer Reportsの助言に合意するか?
FDAの主な関心は食品の安全性と供給と、消費者が情報を与えられた上での選択ができるように最良の科学的情報を得ることである。FDA連邦政府の他の機関と協力して一般の人々のヒ素暴露を制限するために適切なあらゆる対応を検討する。
・なぜConsumer Reportsのコメをあまり食べないようにという助言とFDAの助言とが違うのか?
現在入手できる科学文献から、FDAは消費者にコメやコメ製品について食生活の変更を薦めない。
さらなる解析が完了するまで、ヒ素のために食生活を変えることを薦めるのは時期尚早だと信じる。消費者にとっては、栄養のためだけではなく、どんなものでも特定の一種類の食品だけを食べることによる影響を最小化するために、多様な穀物を含むバランスのとれた食生活をすることが重要である。
ヒ素には種類の違うものがあるのか?
水や食品や大気や土壌中には2種類のヒ素化合物がある:有機と無機である。これらの合計を総ヒ素という。長期健康影響と関連するのは無機ヒ素である。どちらも土壌や地下水に存在するため、ある種のヒ素がコメやフルーツジュースを含む食品や飲料に含まれる。
ヒ素はどうして食品に入るのか?すべての食品にヒ素が含まれるのか?
ヒ素穀物や野菜や果物などの多くの食品に土壌や水からの吸収により含まれる。ほとんどの作物は土壌からそんなにたくさんのヒ素を取り込まないが、コメは他の穀物より土壌や水のヒ素を取り込みやすい。さらに一部のシーフードには毒性の低い有機ヒ素が大量に含まれる。
・オーガニック食品はオーガニックでない食品よりヒ素が少ないのか?
ヒ素の量についてオーガニックとそうでないコメの違いについてのデータは知らない。ヒ素は天然に土壌や水にあるので慣行栽培だろうと有機栽培だろうと関係なく吸収される。
ヒ素による健康リスクとは何か?
長期高濃度ヒ素暴露は皮膚、膀胱、肺がん、心疾患の率の高さと関連する。FDAは現在これらやその他の長期影響について検討している。研究を検討してみると、大量のコメおよびコメ製品を食べたヒトとヒ素に通常関連する病気との因果関係を示す科学的データが欠けている。しかしながら我々はこれについて研究を続け他の要因についても検討している。
FDAは食品のヒ素濃度を検査しているか?
している。FDAは1991年からのトータルダイエットスタディ計画で各種食品の総ヒ素を検査している。また有害元素計画において特定の食品の有害元素も監視している。
コメのヒ素についてFDAは何をしているか?
FDAは汚染物質による食品リスクを最小化するための包括的科学的リスクに基づいたアプローチの一環として、コメやコメ製品のヒ素の濃度や種類を知るために検査を増やしている。
消費者がコメのヒ素濃度を理解するのに役立つように、FDAは約200のコメ製品の解析結果を発表した。これはより大規模の現在進行中の1000以上のコメ製品研究の一部である。FDAが1000以上のコメ製品の解析を完了したら追加のデータを発表し、必要であれば助言を更新するだろう。
また我々はUSDA、EPA、CDC、WHO、企業、科学者、その他関係者とリスク評価、リスク最小化のための方法について協力している。我々はオーガニック企業を含むコメ企業、消費者団体などと会って生産や製造、コメの産地などの情報を交換している。
FDAは食品の安全と供給を確保するための役割の一環としてこの問題への対応を継続し、人々に何をしているかについての情報を提供し続ける。
・「コメ製品」とは何か?
玄米シロップのようなコメ以外のコメやコメ由来成分を含む食品のことである。
FDAのコメやコメ製品についての予備的データでは何が示されたか?
最初の検体の解析では各種コメやコメ製品には一食あたり平均3.5-6.7 microgの無機ヒ素が含まれることがわかった。
CDCの最近の調査では人々は平均すると週に2カップの調理済みコメを食べている。
予備的調査では健康影響やそれを下げるためにどうすべきかについてはわからない。リスクを評価し最小化するためにはデータを集めて解析することが重要な最初のステップである。
FDAはより広範な検査が完了したら徹底した評価を行うであろう。我々はヒ素を含む汚染物質のリスクを監視し最小化する責任を重大に受け止めている。
FDAはコメのヒ素についてさらにどうするか?
FDAは米国や世界中で栽培されている多様なコメの品種や価数のコメ製品についてより包括的な実態を知るために追加で1000の検体を集めている。長粒米や中粒米、短粒米、玄米、バスマティ米、国産および海外産も検査している。さらに煎餅や米水、乳児用ミルク、米のお菓子、酒、朝食シリアルやグラノーラバーも含まれる。
FDAはコメやコメ製品にヒ素の基準値を設定するつもりか?
我々は消費者がコメのヒ素を心配していることは理解していて、消費者により良い情報を提供するためにデータの収集と解析に努力している。今消費者に初期データを提供したが、残り1000以上のデータについては年末までに完了するであろう。その後の科学的リスク評価で規制値などが必要かどうかを決定する。
FDAはこの研究をいつやるのか?
FDAは追加の収集と解析を今後数ヶ月で、2012年末までに完了することを目標にしている。完了後、完全リスク評価を行って、必要であれば助言を更新する。

  • コメのヒ素:コメ/コメ製品検体の分析結果要約 2012年9月

Arsenic in Rice: Summary Analytical Results from Rice/Rice Product Sampling - September 2012
http://www.fda.gov/Food/FoodSafety/FoodContaminantsAdulteration/Metals/ucm319924.htm

  • コメのヒ素:コメ/コメ製品検体の完全分析結果 2012年9月

Arsenic in Rice: Full Analytical Results from Rice/Rice Product Sampling - September 2012
http://www.fda.gov/Food/FoodSafety/FoodContaminantsAdulteration/Metals/ucm319916.htm
こちらには総ヒ素、無機ヒ素、DMA、MMAを記載

(国際市場でのプレゼンスを反映して日本産はない。コメの有機ヒ素ってDMAが多いのか・・だとしたらほぼ100%無機ヒ素とみなしてもよかったのかも)

  • 消費者向け情報

FDAはコメのヒ素の答えを探す
FDA Looks for Answers on Arsenic in Rice
September 19, 2012
http://www.fda.gov/ForConsumers/ConsumerUpdates/ucm319827.htm
FDAの検査では検体によりヒ素濃度が多様であることが示された。
ヒ素は環境中に存在する