食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

フランスと欧州委員会が異論のあるラットでのGM研究のレビューを命令

ScienceInsider
France and European Commission Order Review of Controversial GM Study in Rats
byMartin Enserink on 21 September 2012
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2012/09/france-and-european-commission-o.html?ref=hp
水曜日に発表されたGMトウモロコシがラットで腫瘍や死亡の原因となると主張する研究は多くの科学者から酷評された。しかしそれは政治的影響がないことを意味しない−特にそれが行われて大量のメディア報道がなされたフランスでは。
昨日フランスJean-Marc Ayrault首相がバイオテクノロジー審議会と食品環境職業衛生安全機関がこのCaen 大学Gilles-Eric Séraliniらによる研究の検討を依頼されたことを発表した。欧州委員会も同様にEFSAに検討を依頼した。カリフォルニアではGM食品の表示法を支持するひとたちがこの研究を彼らの意見を支持するものとして持ち上げている。
この論文ではSéraliniはモンサントの除草剤耐性NK603トウモロコシを2年間与えたラットに腫瘍が多くできてホルモンバランスが悪いとしている。批判者はこの研究には重大な統計的欠陥やその他の問題があると指摘している。
しかしフランスでは、著者らのメディア戦略によりこれらの批判はあまり報道されていない。Séraliniらは一部のフランスのジャーナリストたちにこの論文を発表前に提供し、普通はしないことだが、それについて他の専門家からのコメントを得ることを禁止した。結果として、翌日になるまで批判はほとんど報道されなかった。研究チームから特別の事前情報提供を得た週刊誌Le Nouvel Observateurはこの研究について木曜日に発表された号で特集を組み、「GMOは毒」という警告的表紙で報道した。
「これはフランスにおけるGMOにとって恐るべき事態である」とパリ大学の遺伝学者でバイオテクノロジー審議会の前身の議長だったMarc Fellousは言う。「これらの報道がすべてネガティブな影響を与えるだろう。人々は専門家をもはや信頼しない。」。Séraliniはコメントしていない。
メディアの嵐はさらに激しくなるだろう。来週。Séraliniはこれについて本を発表する。タイトルはTous cobayes? (我々はモルモットか?)である。さらに同名の映画がJean-Paul Jaudによって作られている。
EFSAはウェブに短いコメントを発表した。EFSAにとってSéraliniの仕事は珍しくなく、2007年にも評価し科学的正当性がないと結論している。

  • Science 21 September 2012 vol 337, issue 6101, pages 1425-1572

http://www.sciencemag.org/content/current
疾患予防特集
非伝染性疾患の予防についての特集。費用対コストやリスクベネフィット、実効性などについて多くの課題がある。