SMC
Behind the GM corn controversy – The Conversation
September 27th, 2012.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2012/09/27/18283/
先週のGMトウモロコシとがんについての論争を受けて、オーストラリアの専門家がこの研究の発表を巡るメディアの問題について特に注目して背景を取り上げた記事をThe Conversationに書いた。この記事をクリエイティブコモンズライセンスにより再掲する。
タイトル:メッセージを改編する:どのようにしてトリックが反GM科学の真実を覆い隠したか
筆者はメルボルン大学のRichard RoushとDavid Tribe
しっかりした科学は信頼性が高く我々の役に立つ。現代の医学、航空機産業、インターネットなどはすべて、科学が普通の人々に、より健康的でおもしろくより豊かな生活を可能にすることを示す。
しかし科学は特定の意図により激しい戦いが行われる戦場でもある。そして科学の専門誌であっても、人々やメディアを惑わすために使われ得る。この話が示すように、悪徳業者や悲観的な研究者だけが口実にするわけではない。
先週、オーストラリアの人々は画像を伴った新たな悪質なメディア操作による反GMメディアキャンペーンに襲われた。ラウンドアップ耐性遺伝子組換えトウモロコシを含む食事を与えられたラットが、2年以上の研究で、対照群より高頻度に、より早く死んだことを示唆する論文がFood and Chemical Toxicologyに発表された。
たとえあなたがGM作物を大嫌いであっても、オーストラリアのメディアが話の一側面のみを示し批判を遅らせるという報道キャンペーンに如何に簡単に騙されるかについて警戒すべきだろう。そしてメディアと科学を装ったテクノバブルへの一般的信頼を間違って使つかうことのより広い意味について心配すべきだろう。
背景
すべては反GM圧力団体の代表者がフランスのCRIIGENによる新しい研究について熱弁を振るったことから始まった。この研究はGMトウモロコシと除草剤ラウンドアップがラットで腫瘍を誘発したことを示すとされた。その主張の中にはラウンドアップは飲料水中に検出される程度の低濃度で調べたというものもあった。この主張の科学的疑わしさはさておき、広く報道されていない事実がある−活動家団体が他のどんな科学者よりも早くこの論文を知っていたということである。さらにこの研究のコピーを事前に入手できたジャーナリストには普通ではない秘密にすることという制限が付けられ、これは報道へのembargo制度を破壊するものである。著者らは出版前の論文を特定の報道関係者にのみ開示し、報道前に他の専門家に相談しないよう署名させられた。この制限によりこの問題のある反GM研究がバランスのとれた知見なしに広く報道された。他の科学者がこの論文を見る機会が得られたとたんに速やかに激しい批判がまきおこった。
CRIIGENはこれまでにも遺伝子組換えは有害だと主張し、統計解析がインチキだとしてEFSAに却下されている。世界中の科学者が既にCRIIGENに対して元データの開示を要求している。GM食品に対して批判的だった主流団体ですらこの話には乗っていない。
さらにCRIIGENが主張するような驚くべき結果は普通はNatureのようなトップジャーナルに発表されるがそうではなかった。残念ながらこの研究に対する徹底的批判はGMトウモロコシへの間違った一般の認識を改めるほど十分には報道されないだろう。
メディア報道
しかしもっと大きな問題は報道にある。ヨーロッパと米国のメディアは守秘義務署名について怪しいと感じ取った。Forbsは「モンサントのGMトウモロコシとがん:真の科学者は注目しない。多分科学ではなく政治?」という見出しを掲げ、この論文を推しているのが誰かにも注意するよう記している。MITのブログでは「科学についての報道として邪悪で悪臭のする方法」と記している。「この研究はGMOの安全性についてはあまり情報がないが、科学者が自分の主張をコントロールするのに如何にembargoを悪用するかについては雄弁に語る」と。
オーストラリアでは実験デザインについての言及は少しだけあったが、眼ディは著者の主張を垂れ流した。これはジャーナリストは単なる速記者でしかないのではないかという疑問を提示する。
科学者には論文の事前アクセスは与えられないため、ほとんどのオーストラリアのメディアは専門家の意見を聞くことなしに記事を出した。
ジャーナリストへの教訓
新しい宣伝戦略が有効だったら、それをまねする人たちが出るだろう。このような濫用の芽は摘まなければならない。
オーストラリアのメディアが科学を装った政治的意見に利用されるのを避けたいなら、宿題がたくさんある。
(一部略)