- 科学論文の取り下げの多くは間違いではなく不正行為
ScienceInsider
Misconduct, Not Mistakes, Causes Most Retractions of Scientific Papers
by Jennifer Couzin-Frankel on 1 October 2012
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2012/10/misconduct-not-mistakes-causes-m.html?ref=hp
PNASに発表された論文によると、2000以上の取り下げ論文の約67%は詐欺や盗作などを含む不正行為による。
- XMRVの論文を著者に連絡せずに取り下げたことを雑誌が謝罪
ScienceInsider
Journal Apologizes for Retracting XMRV Paper Without Contacting Author
byMartin Enserink on 1 October 2012
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2012/10/journal-apologizes-for-retractin.html?ref=hp
XMRV騒動にまつわるさらに普通でないエピソードとして、PLoS Pathogensが、連絡先著者に連絡せずに論文を取り下げたことを謝罪した。2006年のRobert Silvermanらによる前立腺がんとXMRVの関連についての論文を、PLoS ONEに発表されたSilvermanも共著になった論文で2006年の結果は実験室でのコンタミが原因であることを示したため。Silvermanは取り下げではなく修正で十分だと感じていた。他の著者には連絡して合意されているとしている。
- セラリーニのトウモロコシ研究の失態はGM食品を巡る議論のターニングポイントになるか?
Forbes
Does the Seralini Corn Study Fiasco Mark a Turning Point in the Debate Over GM Food?
Jon Entine,
http://www.forbes.com/sites/jonentine/2012/09/30/does-the-seralini-corn-study-fiasco-mark-a-turning-point-in-the-debate-over-gm-food/
反バイオテクノロジーキャンペーンは気候変動否定の左翼バージョンか?科学メディアは反GM活動団体と狭量な「進歩主義」ジャーナリストやブロガーによりでっち上げられた歪曲に直面する
約2週間前に発表されたセラリーニの問題のあるトウモロコシ研究の余波が拡大し続けている。既に「セラリーニスキャンダル」あるいは「セラリーニ腫瘍ゲート」と呼ばれている。この悪名高いフランスの分子生物学者は、その反バイオテクノロジー活動と科学的に論争中のラットがモンサントの遺伝子組換えトウモロコシや除草剤ラウンドアップ処理したトウモロコシで腫瘍や多臓器障害をおこしたと主張する研究で有名になっている。この研究はGM食品の表示を支持する人も含めた独立した科学者からの速やかで猛烈な批判を巻き起こした。科学者はひどい研究が発表されるとしばしば強く反応する。今回普通でないのは、伝統的に活動家である科学者やNGOが問題のある論文を無料で提供してきた科学ジャーナリストもまた憤っているということである。
最初にこの研究に多数の問題があると指摘したのは遺伝学者や一般科学コミュニティだった。報道者に主要科学ニュース報道の才の手助けを行っているロンドンにあるサイエンスメディアセンターは批判に満ちたウェブページを投稿した。多くがひどい実験デザインともともと腫瘍を生じやすい動物を使ったこと、数の少なさ、データの恣意的選択などを批判していた。MITのKnight Science Journalism Trackerも多数の問題点を指摘している。
セラリーニの研究は異例のものである。これまでのピアレビューされた同じNK603やラウンドアップを使ったラットでの試験では食品の安全上の問題は何も見つかっていない。日本が2007年に発表したGM大豆の52週間試験でも特にラットに有害影響は見られなかったし、今年はじめにもノッチンガム大学のチームが最大5世代にわたる12のGM食品の多世代試験をレビューし健康ハザードの根拠はないと結論している。
最近の、そして最も驚くべき反撃は、一般的にNGO等を批判するのは好まないしどちらかというと活動家よりだったジャーナリストやニュース機関からの怒りである。
最も劇的だったのはSlateでのKeith Kloorによる「GMO反対者は左翼の気候変動否定論者か」という見出しのこの研究の包括的デコンストラクションである
(中略)
早とちりの反GM活動家たちはセラリーニの論文を「決定的証拠」として息巻いているが、次におこるのは「論文取り下げ騒動」であろう。EFSAが今週予備的評価を発表する。セラリーニは生データの提出を拒否している。論文を発表したChemical Toxicology Journalには学術関係者や科学者からピアレビューのプロセスや論文の取り扱いについて公開するよう文書が殺到している。編集者のWally Hayesは論文取り下げも含めて何らかの対応をすると報道されている。まだ騒動の余波は続いているが、この事件はジャーナリストのバイオテクノロジー報道の分水嶺となるかもしれない。
(反GMの急先鋒のはずのグリーンピースインターナショナルがセラリーニ論文を宣伝していないようであることも)