食品安全情報blog過去記事

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トマトは脳卒中を予防するか?

Behind the Headlines
Can tomatoes prevent a stroke?
Tuesday October 9 2012
http://www.nhs.uk/news/2012/10October/Pages/Tomatoes-new-treatment-for-stroke-prevention.aspx
「トマトは脳卒中予防剤である」とBBCニュースが主張した。このニュースはカロテノイドと呼ばれる各種化合物の血中濃度と長期の脳卒中リスクを調べた研究に基づく。カロテノイドは天然に野菜や果物に含まれる色素である。抗酸化作用をもち、抗酸化物質は「フリーラジカル」や「一重項分子状酸素」として知られる分子による傷害から細胞を守るのに役立つと信じられている。抗酸化物質は不安定な分子と反応してそれらを制御することで作用すると考えられている。一部の研究で抗酸化物質が血管の傷害を減らすことで脳卒中を予防する可能性があることが示唆されていた。
この研究では研究者らはリコペン血中濃度が最も高い男性は最も低い男性より脳卒中リスクが55%少ないことを発見した。リコペンはトマトに赤い色を与える化学物質である。この研究の重要な限界は、1000人の男性が含まれるとはいえ脳卒中はわずか67件しかおこっていないことである。このためサンプルサイズが小さくリスク計算の信頼性が低い。
全体として、この研究からはリコペン濃度が脳卒中リスクの低さに直接関与するかどうか、あるいはリコペン脳卒中を予防するかどうかはわからない。しかしながら、この研究は野菜や果物を多く含むバランスのとれた食生活の勧めを支持するものである。