食品安全情報blog過去記事

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Séralini ら (2012)の研究の初期レビューに関するFAQ

Frequently Asked Questions on initial review of Séralini et al. (2012) study
http://www.efsa.europa.eu/en/faqs/faqseralini.htm?wtrl=01
1. Séralini らの研究とは?
Food and Chemical Toxicologyに2012年9月19日にオンライン発表されたラットの研究。
2. EFSAは何を求められたのか?
欧州委員会から公式にこの論文の科学的レビューを行うことなどを求められ、10月4日に初期レビューを発表した。
3. 初期レビューとは?
EFSAは複数専門分野からなる専門委員会を作り、2段階プロセスの最初のステップとして初期科学的レビューを発表した。これはオンライン発表された論文に基づきどのような情報が欠けているかなどを同定するものである。
4. 初期レビューで何がわかったか?
Séralini らの論文は科学的質が不十分でリスク評価に使えないと結論した。論文に説明された実験のデザインや方法には多数の問題点があり、より完全に理解するために著者に重要な追加情報の提供を求めている。
5. 誰が初期評価を行ったのか?
生物統計、実験デザイン、ほ乳類毒性学、バイオテクノロジー、生化学、農薬安全性評価、GMO安全性評価の専門家が初期評価を行った。
6. 次は?
EFSAは著者にこの論文のいくつかの問題点を明確にすることを求めた。返事を受け取ったら来週発表される次の評価に反映させる。2段階目の評価では著者からの情報とベルギーやフランス、ドイツ、オランダなどの加盟国が行っている評価も反映させる。
7. EFSAは著者にどのような情報を求めたのか?
特に方法論とデザインについてである。例えば実験の目的や方法を明確にすること、論文に発表されていないデータなどである。
8. EFSAは実験の生データを要求しているのか?
ノー。現段階では必要ない。通常の科学論文には報告されている情報が欠けているのでそれを求めている。
9. この論文はGMトウモロコシNK603および/またはグリホサートが発がん性があることを証明したのか?
ノー。そのような結論は導き出せない。
10. これまでEFSAはどのようにGMトウモロコシNK603の安全性を評価してきたのか?
2009年にEFSAのGMOパネルが栽培・輸入・加工のための申請の安全性評価を行っている。通常のトウモロコシと同様に安全であると結論している。詳細はリンク先。
11. EFSAはリスク評価において動物での給餌実験の結果をどう考えているのか?
EFSAのGMOリスク評価ガイドラインでは動物での給餌実験が必要な場合と相でない場合を説明している。個々のGMOの性質によって安全性評価に必要な試験の種類や期間は異なる
12. 期間の異なる給餌実験については?
GMOの種類とリスク評価の初期データにより異なる期間の動物実験を求めることがある。例えばリスク評価の初期段階で毒性が示唆される場合にはラット90日試験を要求する。これまでGMOの申請に求めたことはないが90日以上の試験を求めることもあるかもしれない。
13. 何故ドイツ当局がグリホサートに関連してこの研究の評価を求められているのか?
ドイツはグリホサートの初期および再評価の担当国だからである。各国が異なる物質を担当している。EFSAはそのピアレビューをしてその結果が各国に共有される。