食品安全情報blog過去記事

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その他ニュース

  • 二つのフランスの公的機関が議論のあるGM研究を却下したがさらなる研究は求めた

ScienceInsider
Two French Public Bodies Dismiss Controversial GM Study, but Call for Further Research
by Elisabeth Pain on 24 October 2012
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2012/10/french-gm-opinion.html?ref=hp
バイオテクノロジー高等審議会(HCB)とフランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)が、議論になっているGM研究は結論が出せるようなものではないと一致した見解を出した。しかしHCBは人々の安心のためにこの研究を再現することを、ANSESはGM作物の長期毒性研究を薦めた。
この二つの判断は世界中の科学者からの広範な批判に一致するものである。Séraliniらがメディアを使った誇大宣伝を行ったことでさらに批判が沸騰し、彼らの研究発表のやり方は倫理的に許容できないという共同声明がフランスの科学アカデミーから発表されるという珍しい事態になった。
フランス政府はANSESの提案を歓迎し、ヨーロッパのGM規制の改訂を求めGM作物栽培モラトリアムを維持すると言っている。

  • 大規模藻バイオ燃料は現状では持続不可能、と新しい報告書は結論

ScienceInsider
Large-Scale Algae Biofuels Currently Unsustainable, New Report Concludes
by Robert F. Service on 24 October 2012
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2012/10/large-scale-algae-biofuels-curre.html?ref=hp
まだ技術的に未熟、ただし改善の余地はある、と。

  • 毒性学:学習曲線

Natureニュース
Toxicology: The learning curve
Dan Fagin 24 October 2012
http://www.nature.com/news/toxicology-the-learning-curve-1.11644
一部の化合物は極めて微量で予期できない強力な作用をもつ、と研究者が言う−しかし規制担当者は確信していない
パラケルススの毒性学の基本的ドグマ“the dose makes the poison”(毒かどうかは用量による)から導き出される、有害化合物でも暴露量が少なければ一般的にリスクは低くなる、という仮定は化学物質の安全性試験の中核である。
しかし内分泌撹乱物質などのようなものについては用量が低いとリスクが高いと主張する研究者が増えている。Frederick vom Saalは1970年代から警鐘を鳴らし続けている。彼と彼の共同研究者は環境中に存在する低用量の内分泌撹乱物質は肥満や糖尿病やがんや心血管系疾患や不妊や性成熟に関連する他の病気を含むたくさんの健康問題に寄与していると信じている。しかし多くの毒性学者はそれほど確信していない。特に企業や政府で長い間リスク評価に関係してきた人たちは。彼らはvom Saalらの仕事は再現性が無く妥当性の評価されていない試験法が多く、実際の健康影響に至らない遺伝子の活性変化などのようなエンドポイントに集中しすぎている、という。
ECの科学委員会は6月の会議で低用量影響の重要性については合意に至らず、FDAEPAなどは現時点で規制上の大きな改訂は予定されていないが少なくともこの問題について議論をする意志は示している。
(長い記事でvom Saalらの言い分をかなり取り上げている。別に遺伝子発現が少し動いたというような些細な影響でも有害だとみなして厳しくしたっていいんだけど、それをやると天然物の方が先に使用禁止になるけどいいの?という話なんだが。)

  • L’Aquilaから学ぶ−そしてCanterburyは何故違うのか

SMC
Learning from L’Aquila – and why Canterbury is different
October 25th, 2012.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2012/10/25/learning-from-laquila-and-why-canterbury-is-different/
カンタベリー大学構造地質地形学上級講師で2011年首相サイエンスコミュニケーション賞を受賞したMark Quigley博士による説明
判決は地震を予測できなかったためではない。それは多くの人は可能だとは思っていない。そうではなく、「不適切な」リスク評価と科学的に不正確なメッセージが発表されたことで死者が増えたとされるためである。

  • 記録として PCBやフタル酸は早期閉経と関連するか?

Sense about science
For the record
Can PCBs and phthalates be linked to premature menopause?
24 October 2012
http://www.senseaboutscience.org/for_the_record.php/105/can-pcbs-and-phthalates-be-linked-to-premature-menopause
2012年10月24日のDaily MailやTimes、Telegraphの記事がPCBやフタル酸の暴露と早期閉経を関連づけた。これらの記事は米国生殖医療学会で発表されたものでピアレビューされたものではない。Timesは「プラスチックの瓶や掃除用品等のどこにでもあるものに入っている物質や農薬が女性の生殖系に干渉するようだ」と書き、Daily Mailは「これらに高濃度暴露された女性はそうでない女性より2年半早く閉経する」と報道した。ここにRichard Sharpe教授とJohn Hoskins博士が説明する。
エジンバラ大学生殖健康センターRichard Sharpe教授
関連は因果関係の証明にはならない。現在の知見からメカニズムは推定できない。因果関係を調べるにはそのためにデザインされた研究が必要である。
独立毒性学者John Hoskins博士
学会発表とピアレビューされた研究の間には距離がある。従ってこれまでのピアレビューのある多数の研究とは違う結果である場合には特に注意が必要である。
フタル酸エステルは広く使われているためこれまで多くの健康や環境への影響についての試験が行われてきた。これらの試験で一部のフタル酸が高用量で齧歯類に与えた場合に生殖器系に影響があるものが見つかっている。それらは食品容器やおもちゃへの使用は認められていない。これらの化合物は人体に蓄積しない。PCBは今は使われていないが環境中に残存している。

オンタリオ医師会
Ontario’s Doctors Call for Urgent Action to Combat Obesity Epidemic
Toronto, October 23, 2012
https://www.oma.org/Mediaroom/PressReleases/Pages/ActiontoCombatObesityEpidemic.aspx
オンタリオの医師らが肥満による早期死亡予防のための積極的対策を打ち出した。1960年代に50%以上だった喫煙率を20%未満にしたタバコ対策を真似ている。
・ジャンクフード課税
・子ども向けの砂糖や脂肪の多い食品の宣伝制限
・高カロリー食品のパッケージに警告表示
・砂糖や脂肪の多い食品を販売する場所での健康リスク情報の掲示
・娯楽施設での栄養価の低い製品の制限
など
例は以下から
https://www.oma.org/HealthPromotion/Obesity/Pages/default.aspx
警告表示の例がすごい
フライドポテト
https://www.oma.org/Resources/Documents/Fries%20Obesity%20Warning.pdf
ブドウジュース(炭酸飲料ならともかく果汁にここまでやるか)
https://www.oma.org/Resources/Documents/Grape%20Juice%20Obesity%20Warning.pdf
ピザ
https://www.oma.org/Resources/Documents/Pizza%20Obesity%20Warning.pdf
など