食品安全情報blog過去記事

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論文等

  • 21世紀の喫煙ハザードと禁煙のメリット:英国ミリオンウーマン前向き研究

The 21st century hazards of smoking and benefits of stopping: a prospective study of one million women in the UK
The Lancet, Early Online Publication, 27 October 2012
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(12)61720-6/fulltext
米国や英国では1940年頃に生まれた女性が、成人期をとおして喫煙する最初の世代で喫煙の悪影響が出るのは21世紀になってからである。1996-2001年に英国人女性130万人をリクルートし3-8年後に再調査した。その結果として喫煙者の50代、60代、70代のすべての原因による死亡の2/3は喫煙によるもので、喫煙者は少なくとも10年の寿命を失う。40才前に禁煙すると過剰死亡の90%以上が予防でき、30前に禁煙すると97%が予防できる。

  • EUタバコ製品指令は脱線してはならない

The EU Tobacco Products Directive must not be derailed
The Lancet, Volume 380, Issue 9852, Pages 1447 - 1448, 27 October 2012
2012年12月19日の改訂EUタバコ製品指令採択をコミッショナー辞任により遅らせてはならない

BMJ Personal View
The UN is premature in trying to ban DDT for malaria control
(個人的見解、というコーナーだがナミビアの保健大臣を含む以下の連名)
Richard Tren, director, Africa Fighting Malaria, Washington, DC, USA,
Richard Nchabi Kamwi, minister of health and social services, Republic of Namibia, Private Bag 13198, Windhoek, Namibia,
Amir Attaran, associate professor, Faculty of Law and Faculty of Medicine, University of Ottawa, Ottawa, ON, Canada, K1N 6N5
BMJ2012;345:e6801
http://www.bmj.com/content/345/bmj.e6801?ijkey=H4KijaZlhGvkDLK&keytype=ref
マラリア対策は進んだとはいえまだ重大な問題である。いくつかの流行国ではまだDDTに頼っているなか、UNEPが加盟国の同意なしに冷酷なDDTの禁止圧力に屈するのは問題がある。環境団体はこれまでにもDDTの禁止を求めてきたが、2000年のストックホルム条約では疾患媒介者コントロールのためにDDTを使うのは許容できるとした。アフリカのマラリア流行国や医師や科学者は、DDTの拙速な禁止が対マラリア対策にとって壊滅的であると訴えてきた。WHOもDDTの使用を認めている。現在19か国がストックホルム条約のもとでDDTの使用を認められていて、少なくとも7か国で室内散布に積極的に使用されている。
DDTは安価で効果的で持続性がある。1990年代後半にDDTの代用品が失敗して南アフリカで流行をもたらしたとき、DDTへの切り替えで2年でマラリア症例を41077から2818に93%減らした。ナミビアでは2001年から2009年の間に主にDDTの使用によりマラリアによる入院や死亡を92% (29 059から 2264)と96% (1370から 46)減らした。ボツワナ南アフリカスワジランドでも同様である。DDTのメリットはリスクを上回る。
それにもかかわらずUNEPは再びDDTを廃止しようとしている。EUがWHOの立場を支持しているのにもかかわらずUNEPがそうしようとする動機は不明である。
DDTの代用品の有効性を科学的検証することもなしにイデオロギー的にDDTを禁止しようとしているGlobal Alliance for Alternatives to DDTを介して悪質な影響を与えている。