食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

EurekAlert(http://www.eurekalert.org)より

  • 科学者は「最後の手段」としての「最も毒性の少ない農薬」という用語を客観的に見る

Scientists take objective look at terms 'least toxic pesticides' applied as 'last resort'
12-Nov-2012
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2012-11/esoa-sto111212.php
最近「最後の手段としての農薬」や「最も毒性の少ない農薬」といった助言が増加しているが、科学団体Weed Science Society of America (WSSA), the American Phytopathological Society (APS) およびPlant-Insect Ecosystems Section of the Entomological Society of America (P-IE ESA)によればそれは正しい 統合的害虫管理(IPM)アプローチではない
雑草や害虫や病気の管理のためのIPMにおいては農薬の賢明な使用が求められるが、「賢明」というのはいろいろな行動を意味する。「最も毒性の少ない」という用語は、あらゆるものについて最も毒性の少ない農薬があることを意味するが農薬の毒性は何に対する毒性を評価したかによって異なる。また毒性とリスクは同じではない。「最も毒性の少ない」農薬であろうと「オーガニック」や「ナチュラル」農薬であろうとすべての農薬には何らかの毒性がある。適切な使用が必要である。「最後の手段」という言葉は農薬以外の手段を先に使うべきだということを意味するが農薬散布の時期を逃すと害虫が増加するなどの負の影響がある。「最後の手段」は農薬がいつでも最悪の選択肢であることを示唆するが効果の少ない手段を使うことは別の問題を誘発する可能性もある。単純なメッセージにはメリットも科学的根拠もない。
学会はIPMへの非科学的アプローチには強く反対し、USDAのIPMロードマップの定義を再度支持する。

  • 計画自宅出産主張は患者の最善の利益ではない

Advocacy for planned home birth not in patients' best interest
13-Nov-2012
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2012-11/ehs-afp111312.php
American Journal of Obstetrics & Gynecologyによる臨床オピニオンペーパー。
米国やヨーロッパで近年計画自宅出産が増加していて専門家団体や欧州裁判所がそれを支持している。それに対して専門家集団として反論。結局のところ病院で自宅出産のような経験をすることが安全で患者の満足度を上げ費用対効果も高い。
自宅出産の推奨は専門家の判断よりイデオロギーが優先された場合に何が起こるかの例である。
Planned home birth: the professional responsibility response
Presented at European Congress of Perinatal Medicine, Paris, France, June 13, 2012
http://www.ajog.org/article/S0002-9378(12)01074-5/fulltext

  • 研究は食品由来毒素への暴露が多いことを発見

Study finds high exposure to food-borne toxins
13-Nov-2012
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2012-11/uoc--sfh111312.php
Environmental Healthに発表されたカリフォルニア大学の研究。就学前の子どものヒ素、ディルドリン、DDE(DDT代謝物)、ダイオキシン、アクリルアミド暴露リスクが高い。
2-7才の就学前の子ども207人と5-7才の学童157人の毒素摂取リスクを評価した。
オープンアクセス
Cancer and non-cancer health effects from food contaminant exposures for children and adults in California: a risk assessment
Rainbow Vogt et al.,
Environmental Health 2012, 11:83 doi:10.1186/1476-069X-11-83
Published: 9 November 2012
http://www.ehjournal.net/content/11/1/83/abstract
EPAのIRISの数値で生涯発がんリスク10-6で判断しているのでいろいろなもので100%近くの子どもが許容できないリスクに晒されていると結論している。食品はもともとそういうものなのだが、環境系の人はそれを許せないという。)