食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

オーストラリアで販売されている海藻と海藻含有製品の無機ヒ素調査

Survey of inorganic arsenic in seaweed and seaweed-containing products available in Australia
January 2013
http://www.foodstandards.gov.au/scienceandeducation/monitoringandsurveillance/foodsurveillance/surveyofinorganicars5773.cfm
FSANZはオーストラリアで販売されている海藻と海藻含有製品の無機ヒ素濃度について小規模調査を行った。この調査は2004年に発表した助言のレビューのために行った2010年のサーベイランスおよびモニタリング計画の一環である。2004年にFSANZは消費者に対して天然の無機ヒ素を高濃度含む可能性のあるひじきを食べないように助言している。
検査した各種海藻の無機ヒ素濃度は、ひじき混合物1検体を除きオーストラリアニュージーランド食品基準の海藻に対する最大基準1 mg/kg以下であった。問題のひじき検体については管轄当局に通知しさらなる調査や適切なフォローアップが行われるだろう。ひじきから高濃度の無機ヒ素が検出されることは他の国の知見と一致している。海藻を含む製品の無機ヒ素濃度は他の国での同様の食品の検査結果と同様であった。
無機ヒ素の検査結果は第23回オーストラリアトータルダイエット調査(ATDS)と組み合わせて食事からの無機ヒ素暴露量を推定した。一般的にオーストラリアの人々の海藻や海藻製品摂取量は低いため食事からのヒ素の総暴露量への寄与は小さい。他の食事成分からのヒ素暴露量の多い人たちや、ひじきを定期的に食べる人たちは一般人に比べてヒ素による健康リスクの可能性が高いことを知っておくべきである。FSANZは海藻についてのファクトシートをレビューして更新した。
この調査の知見は、ひじき含有製品をのぞき、検体の多くが食品基準に従っていたことを示す。この法令遵守率の高さはDAFFが国境で行っている監視の結果と一致する。
調査結果の詳細は以下
SURVEY OF INORGANIC ARSENIC IN SEAWEED AND SEAWEED-CONTAINING PRODUCTS AVAILABLE IN AUSTRALIA
http://www.foodstandards.gov.au/_srcfiles/Survey%20of%20inorganic%20arsenic%20in%20seaweed%20v2.pdf
検体は38、測定法はICP-MS定量限界(LOQ)は0.03 mg/kg、報告限界(LOR)は0.05 mg/kg。抽出法により総無機ヒ素の中にMMAが含まれる可能性がある。
ひじき含有製品の無機ヒ素のみが1 mg/kgを超過し7.8 mg/kg(乾燥)で、水戻しした場合でも1.4 mg/kg。
リスク評価として、JECFAのBMDL0.53 μg/kg bw/dayを用い、ATDS 0.4-1.4 μg/kg bw/dayに海藻による追加のヒ素摂取を検討した。オーストラリア人の上限海藻摂取量として1日10gを仮定して計算した。ベストケースで0.3-0.7 μg/kg bw/day、ワーストケースで 2.2 - 7.6 μg/kg bw/day.となった。オーストラリア人一般には問題とならない。
ただしひじきを食べる人、特に小さな子どもはリスクが高い。
リスク管理としてDAFFが税関でひじきはリスク食品と分類されているので100%検査対象となっていてヒ素が1mg/kg(85%含水)以上のものは通関させない。続けて5回パスすると25%に、20回パスすると5%に検査率が減るが一回でも失格すると次は100%に戻る。

  • 消費者向け情報 ヒ素

Arsenic
January 2013
http://www.foodstandards.gov.au/consumerinformation/arsenic.cfm
食品基準では海藻や軟体動物については無機ヒ素1mg/kg、魚や甲殻類については2mg/kgの基準値を設定している。ひじきについては輸入時に100%検査対象にするなど消費者を守るための対策が行われているが、それでも定期的にひじきをたくさん食べたり、シーフードやコメなどのヒ素濃度の高い食品と一緒に食べたりすると健康リスクが高くなる可能性がある。暴露量が心配なら医師などの専門家に相談するように。

Monitoring of inorganic arsenic and iodine in seaweed
January 2013
http://www.foodstandards.gov.au/scienceandeducation/factsheets/factsheets/monitoringofinorgani5775.cfm
ヒ素
2013年にFSANZは海藻と海藻含有製品の無機ヒ素濃度についての調査結果を発表した。ほとんどの検体は規制値以下だったがひじきだけは例外だった。ニュージーランド一次産業省も輸入ひじき製品のヒ素濃度を検査して一部から規制値を超える濃度を検出している。
集めた情報からはオーストラリア人の食事からの総ヒ素暴露への海藻の寄与は小さいが定期的にひじきをたくさん食べる集団については一般人より健康リスクが高いことを承知しておくべきである。
ヨウ素
2010年にFSANZは海藻と海藻含有製品のヨウ素濃度について調査を行った。ほとんどの海藻は安全であるが昆布は極めて高濃度のヨウ素を含むため、特に妊婦や小さな子どもに安全ではない可能性がある。