食品安全情報blog過去記事

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ミルクのDCDについての懸念−専門家の反応

Concern over DCD in milk – expert responds
January 28th, 2013.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2013/01/28/concern-over-dcd-in-milk-expert-responds/
ニュージーランドのミルクから痕跡量の農業用物質DCDが検出されたことは懸念材料ではない、と農業の専門家は言う
ニュージーランドの乳製品から牧場の窒素流出を防ぐのに使用されるジシアンジアミド(DCD)が微量検出された。ミルクにDCDが存在することが国際的販売に負の影響を与えることを懸念して、一部のニュージーランド業者は酪農牧場でのDCDの使用をやめるまたは制限する対策をとった。
SMCは以下の専門家の意見を得た
Waikato大学アグリビジネス教授Jacqueline Rowarth
DCDより塩の方が致死量が少ない−そしてこの騒動は、科学(つまりDCDが測定できる)が理解を伴わずに使用された場合の典型的例である。
実験用マウスでのLD50は塩が4g/kgでDCDは10g/kgである。Lincoln大学での研究ではDCDを使うことで窒素の流出を防ぐことができる。一般的推奨値は農場の土壌は摂氏12℃以下である必要があり北東での使用を制限し南島では春夏秋にしか使えない。Waikato大学での研究ではDCDの使用によるメリットは全体としてはポジティブであるが広く使うには小さすぎるだろうとしている。問題はミルクの利益に対する費用である。一次産業省の農業モニタリング報告では農家の収入は既に厳しい−ニュージーランド統計局の報告では生産コストと同様食糧価格もあがっている。しかし全体として、肥料会社とFonterraは懸念に対応することでニュージーランドのブランドを守った。今後はこれらの企業とニュージーランドの農家の活動を我々が支える必要がある。