食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

CSIで見るほど単純ではない

It’s not as simple as in CSI
Posted by Andrew Wadge on 01 March 2013
http://blogs.food.gov.uk/science/entry/it_s_not_as_simple
ウマ肉問題が拡大するにつれ、私は何回もDNA技術を用いて全ての製品の全てのDNAを簡単に検査しないのかと尋ねられた。DNA検査の概要を示すことが、テレビ番組のCSI(科学捜査班)で見るほど簡単ではないことを説明するのに役立つかもしれない。
最初に、DNAに基づく検査は多くの食品分析ラボでルーチンになっているものの高度な専門技術であると注意しておくのが重要であろう。二つ目は同時に2種類以上を検査するのは可能ではあるが、検査対象の種が多くなればなるほど複雑になり時間も努力も必要になる。
検査は通常2つのプロセスからなる。最初のステップでは検体に表示されていない肉が含まれるかどうかの定性分析を行う。ここではPCRという方法を使う。これは目的とする、動物種に特異的な微量のDNA配列を増幅して検出する。理論的にはもし検体に2つの動物種の肉が含まれていれば、それぞれの動物に特異的な配列を増幅してゲル状のバンドのサイズの違いとして可視化することができる。
第一段階の二つ目に使われるのは制限断片長多型(RFLP)解析と呼ばれる方法で、しばしばPCRと組み合わせて使われる(RFLP-PCR)。最も古典的にはRFLPは既知のDNA配列を制限酵素で切断し、いろいろな長さのいくつかの断片を作りだしそのパターンをゲル上のバンドとして確認する。理論的にはもし異なる種のDNAを比較したら種に特異的なバンドの違いがみられる。RFLPは民間ラボで速やかに実施できる。
これらの検査は比較的簡単で費用もそれほどかからないが検体中のDNAの量を決めることはできない。
表示されていないDNAが見つかったら二段階目として定量と種の確認の2つの確認検査を行う。これらは費用も時間もかかる。
基本的PCRでは定量が困難であるが、その応用型であるリアルタイムPCRでは複製が直線上になる時期を通常蛍光信号で検出する。
塩基配列を決めるにはDNAの配列決定が正確で信頼できる。ゲル状のバンドのみでは確認できない。塩基配列を決定したらデータベースと比較して種の同定を行う。
検査の感度
ほとんどのDNA検査は肉に1%以上の異なる種が入っていれば確実に検出できる。一部の市販キットは1%以下も検出可能であるが、この感度の違いは検体の調整や抽出などによる。組織の重量当たりのコピー数が多く耐熱性が高いという理由でミトコンドリアDNAが好んで使われるが、定量のためには核にある単一コピー遺伝子の方が適している。
CSIテレビシリーズをよく見ている人たちはこのような技術をよく知っているだろうが、DNA分析の実態は一話完結のドラマで表現されるより時間がかかると言っておくのが公平だろう。
(テレビだとあっというまに「犯人の遺伝子と一致しました」みたいなこと言うものね)