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ビスフェノールA:ANSESは健康リスクの可能性を示し暴露を減らす必要性を確認

Bisphenol A: ANSES demonstrates potential health risks and confirms the need to reduce exposure
09/04/2013
http://www.anses.fr/en/content/bisphenol-anses-demonstrates-potential-health-risks-and-confirms-need-reduce-exposure
三年間の調査を終え、ANSESは本日ビスフェノールAに関連する健康リスク評価の結果を発表した。この作業には他の3つの報告を伴う:ビスフェノールAの代用品となる可能性のある物質リスト、ビスフェノールクラスの他の化合物のハザード評価、内分泌撹乱物質を取り巻く不確実性についての報告、である。
この作業は、ANSESのいくつかの専門家委員会がサポートする内分泌撹乱物質のための特別作業委員会による学際的敵対的(adversarial)集合的専門家評価の一環として行われた。全ての入手可能な研究レビューとANSESによる異なる暴露源のビスフェノールAの測定結果に基づく。
本日発表された意見は2011年9月にANSESが同定した健康影響、特にまだ生まれていない子どもへのリスクの可能性としての妊娠女性に対して、を確認した。初めて食品からだけではなく吸入や経皮を含む集団のビスフェノールA暴露量推定を考慮した。全体の暴露のうち80%以上が食品由来で、主な摂取源は缶詰食品で総食事暴露量の約50%を占める。また再利用可能なポリカーボネート容器にいれた水が主な暴露源である。
動物実験で同定されたハザードと暴露推定をもとに行ったリスク評価の結論は、妊娠女性が暴露された場合に胎児にリスクとなる可能性が示された。同定された影響は、将来のがん発症を促進する可能性のある胎児の乳腺の構造変化に関するものである。しかしこのリスクは専門家による信頼レベルが「moderate」とされるものである。さらにこの作業で暴露源として職業環境での感熱紙(レシートなど)の取り扱いが同定された。小さい子どもなどの他の感受性の高い集団については知識が不十分でリスク評価ができなかった。
ANSESの2011年の意見でフランス政府は2012年12月からビスフェノールAを含む包装材の食品への使用を停止しており、これによりビスフェノールA暴露量は相当減り、その影響もやがて評価されるだろう。さらに他の代用品の安全性も確保されなければならない。特に、追加のデータがない限り、ANSESはビスフェノールAの代用品として他のビスフェノール類を使うことは薦めない。
(リンクされている報告書はフランス語。何故アメリカの研究結果が出るのを待たずにわざわざ動物実験を根拠にこの時期に発表したのか、とかいろいろ謎な感じ。)